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お引っ越し

Posted by a-kasahara on 14.05.26 16:22
上演校名:宮城県古川高等学校
人数  :女子4名
上演時間:約60分

登場人物

母親 
長女 
次女 
三女 

一階の居間である。奥に二階から下りてくる階段が見える。段ボールが置かれ、引っ越しの準備の最中であることが分かる。
家族はそれぞれに引っ越しの準備をしている。
二人の娘が何か話しながら片づけをしているが、あまりはかどらない様子。
奥から母親が登場する。
次女は二階で自分の部屋を片付けているようだ。

母 (二階に向かって)終わったの?今日中になんとかしてよ。リハーサルじゃないんだからね。本番よ本番。…返事ー。あんたた ちも急いでね。新聞なんか読んでると、ほれほれ。
三女 ぎゃー。もう、お母さんたら。

   母、台所へ去る。

三女 (新聞を読みながら)ねえねえ、お嬢様と将来やりたいことはどんなことですか。だって。
長女 なによそれ。
三女 楽天株式会社の運営するインターネット総合ポータルサイト「インフォシーク」が行ったアンケート。だって。
長女 それって誰が質問されてるの?父親?
三女 そうそう。旅行に行きたい、六七パーセント。飲みに行きたい、二九パーセント。今度は逆に娘への質問。
長女 おんなじことを逆に聞く訳ね。
三女 そうそうおんなじこと。 旅行へ行きたい。四三パーセント。
長女 あら、減っちゃった。ま、そうか。
三女 特になし四二パーセント。
長女 特になしって。でも私もそうかな。
三女 だってうちは、…ねえ。
長女 要するに娘とお父さんの意識のギャップ、みたいなことだよね。
三女 そうそう。「親の心、子の心。」…じゃなくて、なんだっけ。
長女 親の心子知らずでしょ。
三女 そそ、その、子知らず。まあ、うちは、…ねえ。
長女 他の質問は?
三女 お嬢様からの悩みの相談を受けますか。
長女 これはまた寂しい結果が。
三女 よく相談される。六パーセント。
長女 六パーセント?たった?
三女 消費税だって五パーセントなのにね。…三パーセントだっけ?
長女 もう少し世の中のことに目を向けようね。
三女 さっきからお嬢様ってさ。
長女 何?
三女 お嬢様お嬢様って、お嬢様なんて呼ばれてる人いないよ。
長女 そりゃ呼ばれはしないけどさ。ほかに呼びようがないじゃない。
三女 でも少なくともうちはお嬢様って感じじゃないと思わない。
長女 そんなことないわよ。私なんかお嬢様タイプって言われるし。
三女 そう?お嬢様タイプ?貧乏な時代の小公女セーラって感じはするけど。
長女 あんた姉に向かってずいぶんと言ってくれるじゃない。
三女 親しき仲にも礼儀知らず。
長女 それも違ってるから。…あーあ、ちっともはかどらないね。なんか憧れてた引っ越しと違うんだよな。
三女 憧れてた?引っ越しに?引っ越しだよ、引っ越し。
長女 憧れてたっていうかさ、なんていうか、新しい生活の始まりっていう感じなんだけど、
三女 私、めんどくさい。
長女 話が途中。でも今までの暮らしにも少し未練があって、
三女 私、引っ越したくない。
長女 だから割り込まないで。ちょっとさびしい気分で、こう二階のベランダから遠くを眺めて、ふっとため息かなんかつくわけよ。
三女 …うち、ベランダなんてないじゃない。
長女 …だから例えばよ。そういうのに憧れてたって話しよ。あんたね、もう少し乙女チックでもいいんじゃないの?一番年下のくせに、一番現実的なんだから。
三女 お金持ちの引っ越しでしょ、それって。よってたかって全部入れてくれるんでしょ。こっちはみてるだけーみたいな。
母 (通りかかり)悪かったわね貧乏で。
長女 誰もそんなこと言ってないじゃない。
三女 格差社会って習ったよ。
母  とにかくごちゃごちゃごちゃごちゃ言ってないで。絶対に今日中に終わらせなきゃいけないんだからね。…重た、分かってるの?分かってるの?昨日にはすっかり終わってる予定だったのにもう。(三女に)
三女 (長女に)もう。
長女 あたしのせいじゃないでしょ。(二階を見上げて)もう。
母 上は大丈夫なの?
二人 さあ?
母 あんたたちここ終わったらちょっと見てきてね。

  母、台所へ去る。

三女 やだよ。なんかわけのわからないコードとかごちゃごちゃしてるしさ。下手に触ると怒られるんだよ。
長女 もっと外遊びに連れ出せばよかったわ。
三女 そうよ、さっぱりお姉ちゃんが遊んであげなかったから、ああいうオタク少女になっちゃったのよ。
長女 そういうこというのやめなさい。
三女 かたづけてたらさ、なんかわけわかんないものとか出てきたら気持ち悪いじゃん。
長女 なによ、わけのわかんないものって。
三女 そりゃあ、なんかわけのわかんないものよ。
長女 あるかもねえ、わけのわかんないもの。

   お互いに、わけのわからないものを想像する。

三女 うーっ。私、ぜったいやだからね。

   母、台所から戻る。

母 なんかさあ、私ばっかり動いてるように見えるんだけど、気のせい?
三女 気のせいだよお母さん。ほら、だってほらこんなに、スピーディーに、てきぱきと、ぷっ、てきぱきって何?
母 だって、こう全然忙しそうじゃないじゃない。あー疲れたみたいな雰囲気が全然ないじゃない。どこにあるの?どこ?え?ここ?
長女 二人で計画を練ってたのよ。
三女 そうそう計画。
長女 で、今動き出そうと。
三女 そうそう、お姉ちゃんの言うとおりです。
母 美しい姉妹愛だわね。分かりました。親の大きな期待は負担でしょうから、とりあえずお昼までに、ここだけは、ここだけはなんとかしてちょうだい。台所は私が頑張るから。

   母、台所へ去ろうとするが、そっと戻ってきて。

母 ひさしぶりにお尻たたいてあげてもいいけどねー。

   母、台所へ去る。

長女 はーい。はーい。やりますやります。
三女 やめてー。きゃー、やめてー。きゃー、きゃー(と台所をうかがいながら)ってもうすぐお昼じゃない。無理無理。

   三女、サイドボードの引き出しを開けようとするが

三女 おねえちゃん、ここ開かない。
長女 なんかひっかかってるんじゃないの?ゆすってみたら。
三女 開かないよ。カギかかってるんじゃないの?
長女 そんなところにカギなんかかけないでしょ。
三女 もしかすると…衝撃的なものが入ってたりして。
長女 たとえば?
三女 たとえばさあ、…、

   お互いに、衝撃的なものを想像する。

長女 あ、なんか生々しい話しになりそうだからやめとこう。
三女 なによ自分でふっておいて。…象が入っているかもしれないじゃない。
長女 …へ?もう一回言って。
三女 ゾウが入っているかもしれないじゃない。
長女 あんたのそういう所は嫌いじゃないよ。
三女 そう?
長女 でも、うかがいますけどね、どうやったら象がこの引き出しに入るんですかね。このちっちゃい引き出しに。
三女 へっへっへ、聞きたい?
長女 何?真面目に答えようとしてる?
三女 だから聞きたいの?
長女 はいはい聞きたいです。
三女 なによそのいい加減な態度は。
長女 もう、忙しいんだから、早く言いなさいよ。
三女 じゃあお姉ちゃんには特別に教えてあげる。
長女 はいはいありがとう。あんたの姉でよかったわ。
三女 この引き出しに象を入れるにはね、まず、
長女 まず、
三女 まず、引き出しを開ける。
長女 引き出しを開ける。
三女 象を入れる。
長女 象を入れる。
三女 引き出しを閉める。
長女 …。
三女 じゃ、二問目ね。
長女 もういい、一問で十分。
三女 いいからいいから。それでは第二問です。あの引き出しにきりんを入れる方法は?
長女 今度はきりんね。
三女 うん、きりん。
長女 あんた私を馬鹿にしてるでしょ。
三女 してないよ。でもキリンは首が長いから象みたいにはいかないよ。
長女 はいはい。首が長いもんね。まず、
三女 まず?
長女 引き出しを開ける。
三女 よく分かったねおねえちゃん。
長女 やっぱり馬鹿にしてるだろ。
三女 もう、ほめてるのに。つぎ、つぎ。
長女 きりんを入れる。
三女 うん、入れる。
長女 引き出しを閉める。
三女 うん、閉める。
長女 これでいい?
三女 惜しい、おねえちゃん惜しいよ。
長女 なんでよ。象かきりんかの違いじゃない。
三女 だから、首が長いから気をつけてって言ったのに。
長女 何が違うのよ。
三女 いい、よく聞いて、この引き出しにきりんを入れる方法は、引き出しを開ける。
長女 だからそう言ったでしょ。
三女 象を出す。
長女 あ。
三女 きりんを入れる。
長女 …。
三女 引き出しを閉める、でした。惜しかったねえ。
長女 …たいへん勉強になりました。
三女 ところでさ。
長女 なによ。
三女 えへへへ。
長女 あんたがそういう笑い方する時ってろくなことがないんだから。
三女 …大学生ってさ、楽しい?
長女 なによ急に。
三女 おねえちゃん見てるとさ、とっても楽しそうだよね、大学生ってさ。
長女 そう?勉強とか結構たいへんだよ。アルバイトもあるしさ。
三女 でもさでもさ、(小声で姉に何かつぶやく)
長女 あんたそれ、どこで、もう、お母さんには内緒だぞ。

   黙って両手を差し出す。

長女 なによその手は。
三女 おねえちゃん、今一番価値のあるものは最新の情報だよ。グーグルだよグーグル。
長女 身内をゆするなんて、犯罪だぞ。
三女 あ、自分にやましいところがあるくせに、人を犯罪者呼ばわりして。
長女 あのね、やましい所なんてありませんから。私はただお母さんに余計な心配をさせないように…
三女 わかった、わかったってば。ああ、私も早くなりたいなあ大学生。
長女 あんたの成績ではどうだかねえ。
三女 あ、それを言う?それを言っちゃあおしまいだよ。
長女 ちょっと休憩しない。
三女 休憩するほど働いてないけど。まいっか。
長女 おいしい、かどうか分からないけど、クッキーがあるのよ。
三女 わー食べる食べる。
長女 じゃあ、お茶入れて。
三女 はーい。(台所に去る)
長女 (自分に)ほんとに楽しいの?ねえ?

   三女、お茶を持ってくる。

三女 まだ水道もガスも大丈夫なんだね。
長女 そりゃそうでしょ。
三女 だからこうやってお茶が飲めるわけだ。
長女 はい、クッキー。チョコと、これなんだろ?普通の。どっちがいい?
三女 チョコ。だんぜんチョコ。なにがなんでもチョコ。

   しばしほっとする二人。

三女 でもなんかキャンプみたいで楽しいね。
長女 キャンプ?
三女 台所のリフォームをした時さ、
長女 リフォームっていうか、水道管の修理だけど。
三女 ご飯の支度が出来ないから、お弁当を買ってきてみんなで食べたじゃない。
長女 そうだっけ、あんまり記憶にないけど、そうだったかな。
三女 なんか不便なんだけど楽しくて。キャンプってそういう楽しみなのかなって思った。
長女 でもこうやってお茶飲むのも久しぶりだね。
三女 わたしは部活で遅いしさ、おねえちゃんはバイトで遅いしさ。
長女 夕飯もほとんどばらばらだよね。
三女 みんながほんとにそろってるのは寝てるときぐらい。
長女 朝も結構すれ違うし。

   改めて食卓を囲み、座り直す。

三女 小さい頃はさ、小学校の頃、覚えてる?
長女 私がここで、あんたがあっち。○○はここでさ。
三女 私が1年生、○○ちゃんが3年生、お姉ちゃんが5年生。
長女 そうか2年間は同じ小学校に3人そろって通ったんだね。
三女 みんなで手をつないでいこうって私が言ったら、「そんな恥ずかしいことできっかよ」って○○が言ってさ。
長女 結局自分は遅刻ぎりぎりで、いっつもあんたと私で歩いてたわよね。
三女 なつかしいな。
長女 なつかしいってあんた、つい最近の話じゃない。
三女 さっきの話だけど。
長女 なによ。口止め料は後で。
三女 口止め料なんて人聞きが悪い。
長女 だってそうじゃない、まったく。
三女 あの、そうじゃなくてさ。(向こうをうかがいながら)結婚するの?
長女 なによいきなり。
三女 さっきのはビジネス。
長女 ビジネスって。
三女 ここからは、姉と妹、身内の事情。
長女 はいはい、都合のいい時ばっかりね。
三女 じゃあ教えてよ。結婚するの?
長女 一緒に歩いてただけの男の人と結婚しなきゃならないんだったら、いったい私、何人の男の人と結婚しなきゃならないのよ。
三女 え、お姉ちゃんそんなに何人ともつきあってるの?
長女 ばかね、たとえ話よ。
三女 だーって腕組んでたじゃない。
長女 声が大きい。
三女 (静かな声で)腕組んでたじゃない。
長女 繰り返さなくていい。あんたのそういう無垢なところというか、すれてない所は好きだけど、好きだっていうことと、結婚っていうことはまた違うことなのよ。それに私たちまだ学生だよ。
三女 う、私たちだって。じゃ結婚はしないけど好きなのね。
長女 別にしないと決まってるわけでもないけどさ。
三女 好きってさあ、どんな感じ?
長女 どんな感じっていわれてもなあ。
三女 チョコレートが好き。
長女 それとは違う。
三女 でも「好き」じゃない。
長女 でも違う。
三女 明治のアーモンドチョコが好き。
長女 それ具体的になっただけ。
三女 午後の紅茶が好き。
長女 食べ物から離れよう。
三女 かわいい犬が好き。
長女 近づいてるんだけど違うんだなあ。
三女 コモドオオトカゲが、
長女 嫌い嫌い。
三女 お母さんが好き。
長女 やっと人間か。それでもちょっと違うんだなあ。じゃあさ、逆に聞くけどさ、あんたは好きな子いないの?
三女 …。(向こうを向く)
長女 あれ、どうしたの?
三女 なななな、なんでもない。
長女 そういう時は、なんでもなくない時だよね。ほんとわかりやすいよねえ。
三女 ささささ、さすがおねえちゃん。
長女 そうかあ、いつまでも小さいと思っていたら、
三女 わかんないんだよ。なんかわかんないんだけど、なんか変なんだ。
長女 そうそう。なんか変なんだよね。
三女 チョコレートが好きっていう好きとどう違うんだろう。
長女 また比べてるし。
三女 だって好きだし、チョコ。

  残ったクッキーを食べ、お茶を飲む。
  母、通りかかる。

母 なによ。もう休憩してるの?ぜんぜんはかどってないじゃないの。
三女 だってさあ、おねえちゃんたらねえ。(姉の焦る顔を見なが ら)…いろいろとさ、積もる話しもあるわけよ。
長女 お母さんもどう?私のクッキー、半分あげる。
三女 チョコは私のだけど、チョコじゃないほう。なんていうのかな、普通の。
母 普通のね。じゃ、私もちょっと休もうかな。
三女 じゃ、お茶入れてくるね。

   妹、台所へ去る。

母 (座ろうとして)あ、いた。
長女 ど、どうしたのよ。
母 腰がね、いたた。歳かな。
長女 お母さんまだ若いんだから。
母 何の話し?
長女 ん?ああ。別にたいした話しじゃないよ。小学校のね。
母 小学校?

   妹、お茶を運んでくる。

三女 おっとっとっと。はいどいてどいて。
長女 お母さんが何の話してたのかって。
三女 ああ、小学校の時の話。
母 あんたが側溝に落ちた話?
三女 違うってば。
長女 あははは。何度聞いても笑える。
三女 その話じゃないったら。私の思い出話しってそれしかないわけ?もうめげるなあ。
母 だって小学校の時の思い出って言うと。
三女 あのね、お母さん。この思い出深い我が家から引っ越そうとしてるわけじゃない、今。
母 ずずず。(とお茶を飲む)
三女 ちょっと聞いてるの?
母 聞いてるわよ。思い出深い我が家ですよ。もちろん。
三女 だからね、こうなんとなく寂しげな、でもほのぼのとした思い出が、ふっとよみがえってくるわけですよ。
母 思い出ねえ。
長女 そうやって、考えながら歩いてたら、ぼちゃっと。
三女 もう、お姉ちゃんたら。
母 しかも背中から。
長女 あはははは。
三女 もういいよ。
長女 ごめんごめん。あのね、小学校にわたしたちが一緒に通ってた頃の話し。
三女 もういまさらいいです。どうせあたしは落ちました。
母 ああ、あんたが1年生になった時、3人とも小学生になったんだもんね。そうだったそうだった。
三女 たった2年間だけだったんだよ。3人が同じ小学校に通ったの。
母 そうだね。たった2年間だね。あの頃は。…あの頃ね。
三女 あ。
長女 あ。
三女 残りのクッキー食べちゃおう。お母さんも早く食べなよ。クッキー。普通のやつだけどさ。
母 うん。そうだね。いただこうかな、普通のやつ。クッキー。
長女 ちょっとあんた。
三女 ん?
長女 あんた自分の部屋片付けておいでよ。
三女 もう片付け終わったよ。
長女 いいから、もっと念入りにやっておいでよ。
三女 念入りって、もうあれ以上片づかないよ。
長女 だったらさ、一度段ボールから荷物を出して、
三女 出して?
長女 入ってるものに間違いがないことを確認したら、
三女 確認したら?
長女 また元の段ボールに戻す。
三女 何言ってるのお姉ちゃん。
長女 何かおかしなこと言ってる、私?
三女 言ってる。はっきりとおかしなこと言ってる。
長女 だったらそうだ、○○の部屋の片づけを、
三女 嫌だってば、勘弁してよ。さっき言ったじゃない。他のことだったら何でもやるから、もうそれだけは勘弁して、お願い。
長女 じゃあ、もうバイト代入っても、何にも買ってあげなくていいんだね。何も。
三女 あははは、何も絶対やらないとは言ってないじゃないですか、お姉様ったら、もう。実は今度買って欲しい洋服があってね、
長女 行くの行かないの?
三女 行きます。行きます。すぐ行きます。

   三女、二階へ行く。

母 何か話しでもあるの?
長女 いや、その、特に今日でなくちゃってことはないんだけど。
母 何よ、そんなに改まった話?
長女 いや、ほんとに今日じゃなくていいんだ。なんか今日でこの家とお別れって思ったら、急になんだか。
母 そうだね。お別れなんだね。
長女 私、この家好きだよ。
母 …。
長女 狭いしさ、古いしさ。今時、雨漏りもするけど、やっぱり私が育ったこの家が好き。
母 私だって、この家が好きよ。
長女 あ、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。そんな話をするつもりじゃなかったんだ。私の話をちょっとだけ、ほんのちょっとだけしようと思っただけ。ごめん、母さん。
母 何かあった?
長女 あ、うん、あったっていうか。…何も、何もないんだ。何もないから、何だろうって、何なんだろうって。
母 どういうこと。
長女 そうだよね、分かりにくいよね。なんて言えばいいかな。この後どうしようかって。
母 卒業した後?
長女 まだそこまでも行かなくて、大学に入ったのはいいんだけど、自分が何をしたいのかわからないっていうか。
母 そう。
長女 無理言って希望の所に入れてもらって、大学に通わせてもらってこんなこと言うのいけないって思うんだけど。
母 私は大学生の経験はないけど。大人になる時って、みんなそんな風に思うんじゃないのかな。
長女 大人になる時?
母 私が言うのも変だけど、あなたはちょっとしっかりしすぎてるのかもしれないな。
長女 しっかり、し過ぎてる?
母 あなたは初めての子どもだから、私たちもとっても神経を使ったのよ。ミルクをはき出せば医学書をめくり、ちょっと泣いただけで、病気じゃないかってオロオロしたのね。
長女 そういうものなの?
母 二人目ってさ、慣れてるのよね。少々泣いてもさ、大丈夫大丈夫なんて気持ちに余裕があるわけ。長女のあなたには、細かく気を遣いすぎたのね。
長女 別にそんなにしっかりなんかしてないよ私。
母 下の二人を見たら、相当しっかりしてると思うけどね。
長女 まあ、そう言われたらそんな気も。
母 先の事なんてよく分からないのが普通じゃないの?
長女 そうかな。
母 いろんなものを見てさ、いろいろ迷ってさ、間違いもしてさ、それが大事なんじゃないの?だから、ぐずぐずしているように感じたとしても、それはとっても大事なぐずぐずなんじゃないのかな。
長女 大事な、ぐずぐずか。

  三女、二階から降りてくる。次女が続いて降りてくる。

母 ほら気を遣わずに育った二人が。
三女 もう、絶対に手伝ってやんない。
次女 誰が手伝ってくれって頼んだんだよ。
三女 だってお姉ちゃんとお母さんが二階に行けって。
次女 二階に来てもいいけど、私の大事なものを無造作に触るのやめてくれない。
三女 だって今日中に片付けなきゃいけないんだよ。なのにぜんぜん片づいてないじゃない。
次女 だからって、段ボールに放り投げていいというわけじゃないでしょ。
三女 放り投げてないよ。ぽんって。
次女 それが放り投げてるっていうんだよ。
母 やめなさいってば。
三女 だって○○ちゃんが悪いんです。
次女 あのねこいつったらね、私の大事な、
母 妹をこいつ呼ばわりするのやめなさい。
三女 やーい怒られた。
母 あなたもね、人の物なんだから、もう少し丁寧に扱ってあげたらどうなの?
三女 だってがらくただよ。
次女 がらくたじゃない。
三女 どう見たって燃えないゴミだよ。
次女 人の大事なものをゴミ呼ばわりして。
長女 それはひどいわよ。謝りなさい。
三女 あ、お姉ちゃんだって、さっきわけのわかんないものって。
長女 ゴミとは言ってません。
母 はい、ストップ。いつまで経っても片づかないから、それぞれやらなきゃないことを責任もってやりなさい。
次女 一人でやれるんだからほうっておいてくれる。
三女 積み残していくからな。
母 大丈夫なの?一人でやれる?あのゴ、…細々したものは。
次女 ものの価値の分からない無神経な人には任せられないの。じゃあもう上にいくから、邪魔しないで。(階段を上がりかけるが)それからお母さん、私、大学行かないから。

   二階へあがる。

母 はいはい、わかったわよ、もう。
三女 だから手伝いたくないって言ったでしょ。もうこうなったらおいていこう。後から宅急便で送りなさいって。こわれものってシール張って送りなさいって。
母 よし、じゃあもう一がんばりするか。
長女 ちょちょちょっと。
母 何よ。
長女 皆さん大事なことを聞き逃してない?
母 何が?
三女 細々してるって。
長女 もっと後。
母 上に行くから。
三女 そう、邪魔しないでって。
長女 その後よ。
母 何か言った?
長女 あのこ大学へいかないって言ったのよ。
三女 えー。
長女 ほんと適当に人の話聞いているのね。
母 えー。
長女 …お母さんまで。
母 何でこんな時にそんな大事なことを。(怒り出す)こらー○○ ちょっと降りてきなさい。大学行かないっていったいどういうことなの?
三女 ちょっとお母さん落ち着いて。今その話してたら、今日お引っ越し出来なくなっちゃうよ。
母 もう人の気も知らないで。いいわね、子どもは気楽で。
長女 ちょちょちょっとそんな言い方はないでしょ。○○のことで私たちにまで当たらないで。
母 当たってるわけじゃない。でもみんなのためと思って引っ越すことにしたのに、なんだかみんな嫌そうだし。
長女 嫌だなんていってないじゃない。
三女 私はぜんぜん嫌じゃないよ。ただ荷造りが面倒だなって思っただけで。お姉ちゃんだよ、なんかイメージと違うとかぶつぶつ言ってるのは。
長女 それは関係ないでしょ。
三女 だって学校が変わる訳じゃないし、新しいし。
母 そうだよ。
三女 もうこんな薄暗い雨漏りする家なんか早く出て、新しい生活を始めよう!
母 なんかそこまで言われるとちょっとむかっとくるわね。
長女 じゃ、どう言えばいいのよ。まったく。お母さんも意外と気にするタイプね。
母 A型だから。
三女 (自分を指差しながら)A型A型。
長女 私がABで。
全員 (上を見上げて)B型。
母 うちの子じゃないのかもしれない。
長女 何いってるのよお母さんたら。
三女 お腹すいた。
母 お腹すくほど働いてないじゃない。
三女 じっとしてたってお腹はすくんです。
母 娘三人なんだからもう少し手際がいいと思ってたのになあ。
長女 お母さんの娘よ。
母 そりゃそうね。じゃあ、ちょっと早いけどお昼にしようか。
三女 わーいわーい。
長女 小学校の遠足か。
三女 キャンプだキャンプだ。
母 お弁当買ってくるから、それまで少しは片付けておいて。
長女 はーい。
三女 からあげ、からあげ。
母 わかったわかった。

  母買い物に出かける。入れ替わりに次女降りてくる。

次女 腹減った。
長女 今お母さんお弁当買いに行ったから。
次女 あ、なんで言ってくれないかな。また変なの買って来ちゃうじゃない。
三女 むしろ○○ちゃんの注文の方が変だと思うけど。
次女 どうせあんたはからあげがあれば満足なんでしょ。
三女 おいしいじゃん、からあげ。
次女 よく飽きないな。偏食女。
三女 ○○ちゃんに言われたくないよ。この超スナックマニア。
長女 あんたたちはほんと天敵ね。
三女 ○○ちゃんは片付け終わったの?
次女 いやー、これがさ、色々片付けてると懐かしいものが次々と出てきてさ。私の押し入れは四次元ポケットかっていうぐらいなんかいろいろ出て来るのよ。
三女 捨てちゃえばいいじゃん。
次女 あんたさあ、そう簡単に捨てられるわけないでしょ。
三女 捨てられるよ、ぽいっと。
次女 悲しいねえ。そういう奴はね、思い出も一緒にぽいっと捨てちゃうんだよ。悲しいなあ。
三女 思い出は思い出よ。物は物。そりゃあ捨てられない大切なものもあるけどさ、写真とか。でも○○ちゃんのはただのがらくたじゃない。この超がらくた女。
次女 あなたにとってはがらくただけど、わたしにとってはぜんぶ大切な思い出なの。
三女 古今東西、捨てられないもの。
長女 昔付き合ってた彼の写真。
三女 この間の彼とは別な彼ね。
長女 一般論を言ってるの。
次女 むしろそれは捨てるべきものなんじゃないの。
長女 ブランドものの紙袋。
次女 それ、どっちかいうとお母さんに近い感覚。
長女 いや、お母さんはユニクロもとっておくけど、私はユニクロはとっておかない。 
三女 飲み終わったヤクルトの殻。
次女 小学校の夏休みの工作か。
長女 それはお母さんというよりもおばあちゃんの感覚に近い。
次女 包み紙とか、なんかしらないけど紐とかとってあるよね。
長女 でも結構使うときがあったりして。
三女 小さい頃の持ち物で、まだ捨てられないで取ってあるものってある?
長女 うーんと、ぬいぐるみとか?
三女 ぬいぐるみでもさ、いくつかあるうちのお気に入りがあってさ、別にそれが特別かわいいわけでもないし、高かったわけでもないんだけど、気が付くとそいつを手にしてるんだよね。
長女 そうそう。ほかのはさ、あんまり触らないからきれいなまんまだけど、お気に入りだけがさ、もうすんごく汚いの。お気に入りなのに一番汚いってどういうことみたいな。
次女 わたしだけなんかこう気持ちが弾まないのはどうしてだろう。
長女 (三女に)あんたが一番ものに執着がないわよね。
三女 お姉ちゃん、それを言うとね、悲しい物語が始まっちゃうよ。
長女 わかってるよ、私はみんなお姉ちゃんお下がりだったっていう話でしょ。
三女 それだけならどこにでもある珍しくない話です。
次女 わかったわかった、私が悪うございました。
長女 あんたのお下がりはみんな私のお下がりだもんね。○○のは着られないんだもんね。
三女 お兄ちゃんいるの?って言われたことあるからね。
次女 おいおいそれはあんまりだろう。
三女 一世代前のものだったらまだ我慢して着られるけどね、二世代前だからね、時代はね、もっとはやく流れているからね。
長女 やっぱりあんたはむしろ分かりやすく男の子のほうがよかったのかもね。
次女 理解は出来るけど、同性とは思えない発言。
長女 わかったから。大切な思い出の品を早くしまってあげたらいいじゃない。ほんとに間に合わなくなっちゃうよ。
次女 だからやってるんだけどさ、なかなかこれが。
三女 「なかなかこれが」っておじさんか。とても女子高生とは思えないぞ。
長女 ところであんた、さっきの話。
次女 なに。
長女 大学行かないって。
次女 その話。
長女 本気なの。
次女 まあ、半分本気、半分冗談ってとこかな。
長女 安心した、あんた思いつめるところあるから。
次女 いや、結構思い詰めてるんだよこれでも。
三女 そうは見えないけど。
長女 何かやりたいことでもあるの。
次女 まあないわけではない。
三女 アニメ評論家。
次女 無視します。
三女 フィギュア評論家。
次女 却下します。
三女 コスプレ評論家。
長女 なんでみんな評論家なんだ。
次女 目的もないのに大学行ってもしょうがないと思うんだ。
長女 そ、そそうだよね。高い学費払って、バイトにサークルだけじゃだめだよねえ。
三女 お姉ちゃんはさ、何で今の大学選んだの?
長女 あ、矛先がこっちへ来ますか。そうですか。
三女 別にとりあえず行ってみようかなって感じじゃいけないわけ。
次女 いけなくはないけどさ。
長女 そりゃもちろん、勉強したいことがあったからよ。
三女 私勉強したくない。好きなことが勉強だったらいいけどさ。
長女 好きなことか…、子どもの頃は好きなものたくさんあったのに、だんだん大人になるにつれて、嫌いなものが増えてきて。好きなものって聞かれても、すぐに答えが出なくって、嫌いなものを取り除いて残ったものが好きなものって感じ。
三女 古今東西好きな…食べ物。からあげ。
次女 明治謹製カール明太子味。
長女 …餃子。
三女 コロッケ。
次女 コンビニ限定カルビーポテトチップスあさりバター。
長女 …えーっとラーメン。
三女 メンチカツ。
次女 カバヤ沖縄黒糖プレッツェル。 
長女 …えっとえっとオムライス。
三女 お姉ちゃんだけちょっと遅れるね。
長女 でも不思議だよね。
三女 何が。
長女 だって小さい頃からさ、同じようなもの食べてるわけじゃない。
次女 まあね。
長女 テレビだっていっこしかないんだからさ、同じ番組見てるわけじゃない。
次女 なのになぜこうも違うのかってことだよね。
三女 やっぱり○○ちゃん、よその家の子かもしれない。
長女 だからやめなってば。
三女 で、結局○○ちゃんは何がやりたいのさ。
次女 それがわかったらもうやってる。
三女 なーんだ決まってないんじゃないか。
次女 まあそういうこと。
長女 大人になる時って、みんなそんな風に思うんじゃないのかな。
次女 大人になる時?
長女 いろんなものを見てさ、いろいろ迷ってさ、間違いもしてさ、それが大事なんじゃないの?だから、ぐずぐずしているように感じたとしても、それはとっても大事なぐずぐずなんじゃないのかな。
三女 なんかずいぶん大人なこと言ってない?一瞬お母さんがしゃべってるのかと思った。
長女 え、そうかな、(焦りながらも)や、やっぱりまだ中学生はは、子どもだな。
三女 でもどれぐらいの大人が自分がなりたいと思ったものになれるんだろう。
長女 小学校の時さ、十年後の私とか、将来なりたいものとか書かされたり言わせられたりするじゃない。男の子はさ、割と夢があるっていうか、現実を見てないっていうか、それでも色々とあるんだけど、
三女 そうそう女の子はねー。
長女 結構現実的っていうか、夢がないというか。
次女 4年生の時に二分の一成人式とかいって、みんなの前で、なんか決意表明とかさせられて、そこで将来なりたいものも言わせられてさ。
三女 そういえばあったね、そういうの。
次女 なんで自分の夢を人の前で言わなくちゃいけないんだろうって、すごく違和感があった。で、しょうがないからうそついた。
長女 なんて言ったの。
次女 ミスユニバース日本代表。
長女 あはははは。
三女 あはははは。
次女 みんなもおかしいとは思ったんだけど、人の夢を笑っちゃいけないと思って、必死にこらえてるわけ。
長女 それに、仕事じゃないしね。
三女 でもイチローとかはさ、なりたいって思ってほんとになっちゃうんだからすごいよね。そういう人だっているんだよね。
次女 みんなも言わなくちゃだめだよ。なりたかったもの。
長女 えー忘れたし。
次女 うそうそ、小さい頃なりたかったものなんて忘れるわけないんだから。
長女 だってほんと夢がないんだもん。
三女 しょうがないのよ。長女の宿命だから。
長女 幼稚園の先生。
次女 もう、これだから嫌になっちゃうのよ。
長女 人の夢で嫌にならないでね。
次女 典型的庶民の発想ね。
長女 うちはどう見たって庶民じゃない。
次女 それを打ち破っていく所に未来があるんでしょ。
長女 なにも我が家が日本の未来を背負わなくていいと思います。
三女 自分だって何やっていいかわかんないって言ってたじゃない。
次女 だから悩んでいるんじゃない。ところであんたは何になりたいの。だいたい想像がつくけどね。
三女 え、想像がつくの?
次女 あんたぐらい単純明快な人はいないからね。
三女 じゃあ当ててみてよ。
次女 オリンピック女子カーリング日本代表。
長女 また仕事じゃないし。
三女 なんでわかったの?
長女 え、当たりなの。
次女 前に話したじゃない。単純に馬鹿がついてるね。
三女 馬鹿っていうな。
次女 影響されやすいんだね、要するに。テレビで見たオリンピックにそのまま影響されて。
三女 だーって格好良かったし。
長女 まあね。なんか知的な感じもしたしね。
三女 クールよクール。
次女 あんたはどっちかっていうとホットだからね。
長女 さっきね、お母さんと話してたんだけどさ。今ちょっとそれに納得してる所。確かにね。
三女 なになに、何に納得してるの?
長女 それは秘密。
三女 あ、いけないなあ。家族の間に秘密があっちゃ。
長女 肝心の○○のなりたかったものがまだ発表されてないじゃない。
次女 いまさらいいよ。
長女 だめだよ、言い出しっぺなんだから。人の夢を笑ったくせに。
三女 人の夢を当てたくせに。
次女 いいよ、わかったよ。でも小学校の時の話だからね。
長女 いいからもったいぶらないで教えなさい。
次女 プロ野球選手。
長女 へ?
三女 あ、私前に聞いたかも知れない。星、なんだっけ、大リーグ、えっと、なんだっけ。
長女 ああ、そういえば読んでたわね。みんなが少女漫画読んでる時、あんただけスポ根もの。
三女 でも人のこと影響されやすいって、○○ちゃんのほうがよっぽど影響されやすいじゃない。私は少なくとも現実に憧れたのに、漫画だからね、漫画。
次女 だから小学校の時っていったじゃない。
長女 案外今でも思ってたりして。
三女 やっぱ○○ちゃん、男の子だったんだよ。間違って女の子になっちゃったんだよ。
長女 十年後、どうなってるんだろうね。
次女 なんかとっても先のような気もするし、すぐそこっていう気もする。
三女 早いよね、十年って。

   何かを思い出すような沈黙。

長女 あんたもお茶飲む。
次女 そういえば腹減って降りてきたんだっけ。なんか食いもんある。
長女 あんたもさ、腹減ったとか、食いもんとか、少し言葉遣いに気を付けなさいよ。
三女 クッキーの残りしかないよ。

   お茶を飲みながら。

次女 ところでさ、今回の引っ越し。
長女 何よ。
次女 なんかおかしいと思わない?
三女 何が。
次女 鈍感だねえ。
長女 何よ。
次女 一緒に暮らしてて分からないかなあ。
三女 なんか○○ちゃんにそういうこと言われるの不本意だなあ。
長女 もったいぶらないで言いなさいよ。なにがおかしいの?
次女 だってさ、だいたい急な話でしょ。
長女 それは前から探していてたまたまいい物件があったからって。
次女 どこまで素直に人の話を信じるかねえ。だまされやすいタイプだぞ。特に男に。
三女 お、お姉ちゃんたいへん。あの人に、
長女 ばか、何言ってるのよ。
次女 最近のお母さんの変化に気づかないの?
三女 あ、そういえば。ほら、髪型とか。
長女 確かに、前よりちょっとおしゃれになったかな。
次女 でしょ。
三女 それがどうしたの。
長女 あんた、まさか、(笑う)ないないない。あんたの想像力たくましさは認めるけど、お母さんに限ってそんなこと、考えられない。

   静かになる三人。

長女 お母さんにだって、その権利はあるわよね。
三女 なに?なんのこと。二人だけでわかったふりして、ちゃんと私にも教えてよ。
長女 あんたはいいの知らなくても。
三女 えー、そうやっていつも私だけ子ども扱いされてさ。
次女 母さんに恋人が出来たって事よ。
長女 こら。
三女 え?えーーーーーー。
次女 反応が鈍いわりには、驚きが大きいな。
三女 えーーーーーーーー。
長女 でも、そのことと引っ越しと直接関係がないじゃない。
次女 ほんとお姉ちゃんも鈍いわね。大学でろくな男と付き合ってないんじゃないの?
三女 え、あの人、ろくな人じゃないんだ。
長女 だからいちいち現実と結びつけないで。
次女 いい、母さんは新たな一歩を踏み出すために、思い出の詰まったこの家をあえて出ようとしてるのよ。
三女 そっかー。…ちょっと見直したなあ。お母さん。
次女 なんでそうなるのよ。
三女 だって素敵じゃない。なんかアメリカ映画のアメリカのお母さんみたいじゃない。
長女 よく分からないけど、あんた嫌じゃないの?
三女 なにが。
長女 だって新しくお父さんができるってことでしょ。
三女 あ、そうか。…イケメンだったらいいかなあ。
長女 そういう問題か。
次女 私はいやだからね。
長女 あのさあ、想像でものを言っちゃいけないと思わない。
三女 でももしそれが本当だったら、
長女 私はいいと思うよ。
次女 私は絶対嫌だ。
三女 じゃあ私は…どっちでもいい。
次女 なにそのどっちでもいいって。そんな軽い問題?
三女 だってほんとにわかんないんだもん。
長女 いいじゃない別に。母さんだってまだ若いのよ。それに何も今すぐ結婚して一緒に住もうってわけでもないんだし。
次女 わかんないよ。引っ越してみるとさ、なんか見たことのない男の人がいてさ、誰なのっていうと、なんていえばいいのかなあ、そのう、なんて柄にもなくはにかんじゃったりして。
長女 パパって呼んでくれても構わないよ、なんて。
三女 げーっ、いくらなんでもそれは嫌だなあ。
次女 でしょ、嫌でしょ。じゃああんたも反対に回りなさい。はいこれで反対2、賛成1。
長女 何もそう立場をはっきりさせる必要もないんじゃない。
次女 いやいや、いざ家族会議なんてことになった時のために、自分の立場ははっきりさせておかなきゃだめだよ。
三女 そうだよね、財産の相続問題にも発展するかもしれないしね。
次女 今回はそこまで考えなくてもね。
長女 じゃあ聞くけどね、あんたたち、いつまで母さんと一緒に暮らすつもりなのよ。
次女 え?
長女 今はこうやって同じ家から学校に通っているけど、もし遠くの大学に入ったら、
次女 だから大学には行かないって言ったじゃないか。
長女 もしもの話よ。私が就職して、あんたたちも県外の大学に行っちゃったら、お母さんは家で一人になるじゃない。
三女 そうか。…やっぱ結婚賛成。
次女 節操がないわね。私はいつまでもお母さんといっしょにいるよ。大学にも行かないんだし。
長女 やりたいことがあるんじゃなかったの?
次女 それは。
長女 いったい誰の人生なの?あんたにはあんたの。わたしにはわたしの。そしてお母さんにはお母さんの人生があるんじゃないの。
三女 そうだよね。最終的にはお嫁さんに行っちゃうんだもんね。
やっぱり結婚賛成。
次女 二人がなんと言おうと私はとにかく嫌だからね。母さんが今後どうなろうと知らないけど、その為にここでの思い出を捨ててしまうのは嫌だからね。
長女 何も引っ越したからって思い出がなくなってしまうわけじゃないでしょ。
次女 じゃあ二人はさあ、その人のことお父さんって呼べるのかよ。
長女 それは。
次女 父さんのことを忘れて、別の男の人と暮らすなんて考えられないよ。
三女 おかしいよ○○ちゃん。いっつもお父さんの悪口ばっかり言ってたのに、何でこんな時だけそんなこと言うのさ。
長女 そうだよ。あんたいつでも言ってたじゃない。仕事仕事って、一緒にご飯なんか食べたことなかったって。学校の参観日だっていっつもお母さんばっかりだったって。
次女 とにかく私は嫌だからね、この家を忘れるなんてできないんだから。お父さんのこと忘れて、だれかと結婚しようなんていうお母さんなんか絶対認めないんだから。

   次女二階へ去る。

三女 ○○ちゃんの気持ちも分かるような気がする。
長女 おや珍しく意見が合うじゃない。天敵のくせに。
三女 天敵だって、お互いのさびしい気持ちはわかりあえるのよ。たぶん。
三女 小学校の時ね。私が男の子にからかわれていた所に、○○ちゃんがやってきてね。こいつは俺の妹だって。
長女 俺って。
三女 手出しする奴は叩き切ってやるって。
長女 もうすでにアニメおたくだったのね。
三女 (やや覚めて)あの時だけだよ。○○ちゃんが助けてくれたのは。
長女 でも○○があんなにお父さんのことにこだわるなんて意外だな。嫌いなのかと思ってた。
三女 …キャッチボールしたかったんだよね。
長女 え、キャッチボール?
三女 ○○ちゃん、お父さんとキャッチボールしたかったんだよね。
長女 そうなの?でもなんでチャッチボール。
三女 ○○ちゃん、子どもの時からあんなだったでしょ。友達も男の子ばっかりだったし。
長女 知らなかったな、そうか、キャッチボールか。男の子って、何かとお父さんと一緒に遊ぶ機会が多いけどさ。
三女 プラモデル作ったりね。カブトムシ捕まえたりね。
長女 女の子はなあ、どっちかっていうと、おままごととか。
三女 クッキー焼いたり。
長女 やっぱり○○は男の子に生まれた方がよかったのかもね。
三女 ○○ちゃん、自分からは言い出せなかったんだよ。だって女の子なのにキャッチボールだなんて。

  次女が段ボール箱をかかえて二階から降りてくる。顔にはお面を被っている。ウルトラマンである。

三女 あ、なんか変な奴が来た。
次女 へあっ。
長女 何やってんのよあんたは。
次女 へあっ。
三女 ウルトラマンはシュワッチでしょ。
次女 へあっ。へあっ。へあっ。へあっ。(それは違うんだと説明している。)
長女 わかんないって。
次女 (お面を取って)だから素人は困るんだ。シュワッチはウルトラマンが飛び上がる時の声だから。
三女 そういう話は秋葉原でやって。
次女 ウルトラセブンはね、もっと高い声でね、ダーとかヤーとか言うんだぞ。
長女 私たちが見たウルトラマンって何回目のウルトラマン?
次女 やってみる?楽しいぞ。
三女 やるやる。(お面を受け取り被る)
次女 へあっ。
三女 へあっ。
長女 馬鹿じゃないのあんたたち。(我慢できずに笑う)あはは。
三女 お姉ちゃんもやろうよ。
長女 大学生に何やらせんのよ。
三女 ウルトラマンに歳は関係ないよ。ほら。
長女 (受け取り被る)
次女 へあっ。
三女 へあっ。
長女 へあっ。

   三人揃ってスペシウム光線のポーズ。
玄関の方を一斉に向くと、宅配便の配達員が立っている。

長女 あ、すみません。いえ、決して怪しい者では。あ、怪しかったですよね。あ、はんこですね。はい、ご苦労様です。
次女 まったくこんな引っ越し間際に何送ってきてるのよ。
三女 引越祝いよきっと。
長女 ざーんねん。ニッセンのカタログ販売でした。
三女 なーんだ。
次女 よーし続きをやろう。
長女 お母さん帰ってくるわよ。片付けなきゃいけないのに逆に散らかしてるじゃない。
三女 わたし久しぶりに楽しい。
次女 お、珍しく意見があったな。それじゃあ。

   段ボール箱の中から、またお面を取り出す。

長女 どんだけ物持ちいいの。
長女 (受け取って)独特の匂いがするんだよね、セルロイドっていうの?ピンポン球が割れたときこんな匂いがした。(被る)変 身!
三女 それは「へあっ」て言わないの?
長女 変身!
三女 ってもう変身してるじゃん。
長女 これ以外のセリフが思い出せない。

   またお面を取り出す。バカボンのパパのお面である。

次女 わはははは。
長女 あはははは。
三女 何笑ってるのさ。
長女 なんでなんでわははははは。
次女 売ってる方もあれだけど、買う方も買う方だよね。
長女 欲しくないよね、一番欲しくないよね。
三女 (受け取り)だってなんかその時は欲しくなっちゃったんだもん。(被る)これでいいのだ。
長女 なーんか懐かしいな。十歳若返った感じ。
次女 まだまだ、これはどうだ。

   バットとボールとグローブを取り出す。

長女 あれ、そんなのあったの?
次女 …お年玉で買った。
三女 ちょっと泣ける話だよねえ、お年玉をためてやっと買ったバットとグローブなんて。
長女 女の子ってとこが余計に泣かせるねえ。

   球場のオルガンの音が流れる。

三女 ここはクリネックススタジアム。地元楽天イーグルスに日本初の女子プロ投手が誕生しました。最初からずっと投げてるわけではなくて、途中から出てきています。なぜ最初から出てこなかったのでしょうか。お腹でもいたかったんでしょうか。
次女 リリーフっていうのよ。
三女 そのリリーフっていう係で出てきました。最後の方に、かなり最後の方になって出てきています。あんまりテレビに映らなくて残念な気もしますが。さあ、投げます、投げそうです。投げる準備をしています。あ、投げました。
長女 かっきーん。
三女 お姉ちゃんたら、泣ける話なんだからいきなり打っちゃだめでしょ。
長女 そか。じゃあ空振り。
三女 おーっと空振りストライク。すごい速さです。えーっと、何キロぐらい出るのかな?
長女 (分からないというポーズ)
三女 おーっと五百キロです。すばらしい、これはすごいスピード。
次女 速すぎだし。人間じゃないってば。
三女 さあ、また投げようとしていますが、なにやら首をかしげています。なにか考え事をしているのでしょうか。
次女 サイン、サイン。
三女 そうなんです、サインなんです。あの、有名人が色紙に書く奴とは違うサインです。さあ、納得がいったようです。説明と同意。インフォームドコンセントです。投げました。おーっと今度はとんでもない方向に投げた。
次女 牽制っていうの。
三女 そうです牽制なんです。牽制をとんでもない方向に投げています。もうとんでもない速さの五百キロの牽制です。さあ今度は投げるのか、それともまた牽制をとんでもない方向に投げるのか、とりあえず投げました。
長女 かっきーん。
三女 お姉ちゃん、だから打ったらだめって言ったでしょ。
長女 なんか楽しくなってきた。楽しいじゃん野球。じゃ空振り。
三女 ストライーク。さあストライクが合わせて二回です。何回ストライクになると、アウトになるんでしょうか。十回ぐらいでしょうか。さあ、いよいよ次は魔球が出るのか。えっと、大リーグなんとかかんとか。
次女 大リーグボール1号、それはバットに当てる魔球。弱点であった軽い球質を逆手に取り、針の穴をも通す正確なコントロールによって生まれた魔球だが、結局、父一徹があみだした魔送球を応用したものに過ぎなかった。
三女 そうなんです。その魔球なんです。父は一徹というのは別の家の話でしょう。とりあえず我が家は一徹ではありません。一徹って何、変な名前。(笑う)
次女 漫画、漫画。
三女 そうなんです、漫画の一徹なんですね。そして漫画の1号の魔球がついに投げられようと、…投げません。
次女 大リーグボール2号、それは消える魔球。しかしこれも父の魔送球を縦に変化させたもの。魔送球がなければ生み出せなかった魔球である。
三女 1号はどこへ行ってしまったのでしょうか。でも消える魔球も見てみたいですね。あ、でも消えるんだから見えないですね。どういうことなのでしょう。期待が高まる中、ついにその魔球が投げられ…ません。だいたい、もう投げようとしていません。夕日を見上げる目線になっています。
次女 しかしこの大リーグボール3号は、
長女 もうちょっと疲れてきたんだけど。
次女 いいところなんだから。
長女 はいはい。
三女 なんったって泣ける話だからね。付き合ってあげようよ。
次女 しかしこの大リーグボール3号は父を越える。…父を、父さん、私、女の子だったけど、やっぱり父さんとキャッチボールがしたかった。でも言えなかった。お年玉をためてやっと買ったこのグローブ、結局使わず仕舞だった。

夕焼け、あの時の夕焼け。

三女 あの日の夕方、父はめずらしく早く帰ってきた。それまでは一緒に夕ご飯なんか食べたことがなかったのに。父さんは言ってた。こうやってあと何回、お前達と飯が食えるんだろうって。 
次女 父さんの思い出は真っ赤な夕焼けの色。父さん、私何か大切な話を途中までしか聞いていないような気がして。

   どこからか風鈴の音が聞こえる。

長女 あ、だれか風鈴しまい忘れてる。
次女 風鈴は私じゃないからね。
三女 いや、違う。…もっとずっと遠くから。

   風鈴の音、高くなる。

三女 耳を澄ますと遠くにお祭りの太鼓の音が聞こえた。
長女 私たちはお祭りの日だけは仲が良かった。だって仲良くしないと、せっかくのお祭りなのに何にも買ってもらえないからだ。
次女 私はウルトラマンのお面をねだった。
三女 なぜかわたしはバカボンのパパだった。

   次女、段ボール箱から浴衣を取り出す。

長女 どうなってんの?
三女 ドラえもんの四次元ポケットみたい。

   それぞれに取り出して羽織ってみる。

長女 きゃーさすがに小さい。
三女 あ、でもお姉ちゃん結構着れてるよ。
次女 なんでわたしだけ新幹線くん?
三女 やっぱ○○ちゃんは男に生まれれば良かったんだよ。
三女 花火しようか。出してよ花火。
次女 いくらなんでも花火は出ない。
三女 なんだ花火は出ないのか。やりたいなあ花火。
次女 もし出てきてもしけってる。十年分しけってる。
長女 四次元ポケットのくせに、しょうがないなあ。

   遠くから打ち上げ花火の音が聞こえる。

長女 小さな町だけど、お祭りの夜は人でごったがえしていた。
三女 食べたいものはたくさんあったけど。二つ以上は買ってもらえなかった。特にチョコバナナは厳禁。
次女 私、本当は花火の音が少しだけ怖くて、父さんの手をぎゅっと握ってた。
長女 花火大会が終わった後、私たちは家に帰って花火をした。
次女 覚えてる?線香花火。
三女 線香花火ってさ、もうすっかりやるものがなくなって、一番最後にしょうがない感じでやる花火だよね。
長女 線香花火でもやるかみたいな感じね。
三女 また、あの束ねてある紙が取れにくくてさ、しかも暗がりで、もう!なんていらいらするんだよね。
次女 そうじゃなくて、父さんが。
長女 あれ、なんだっけ。
次女 覚えてないの?
三女 花火はお父さんの係だったんだよね。お母さんほんと臆病なんだもん。それは音がしない花火だって何度言っても信用しないし。
長女 だから花火の準備はみんなお父さんがやってくれた。
次女 国産の線香花火だって。
長女 国産?
次女 中国製の線香花火は、すぐ落ちちゃうって、火花も小さいって、これは国産だから、大きな火花が「ばっ、ばばって」
三女 その「ばっ、ばばって」言ったの覚えてる。
長女 確かに。普段はむすっとしてるのにさ、なんかその時だけ子どもみたいにはしゃいでた。あんた変なこと覚えてるね。
次女 どこで買ってきたんだろう。
長女 …じゃあ、やるか、国産の線香花火。
三女 そうだね、やろやろ。
次女 …うん。

   国産の線香花火が輝く。

三女 国産とはいえ、やっぱりあっという間に終わっちゃうね。
次女 でも忘れない。ずっと覚えてる。
長女 お母さんのことはまた今度確かめればいいよ。
次女 え?、うん、…そうだね。
三女 母さん、今でも花火怖いかな。
次女 あ、最後に大きいのがあがるよ。

花火の音。見上げる三人。

三女 また夏が来るね。
長女 今年はみんな揃って花火しようか。
三女 だってマンションだよ。近くに公園もないみたいだし。
長女 ベランダでこっそりやれば大丈夫だよ。
三女 大丈夫かな、消防車来ちゃうんじゃない?
長女 ○○もやるよね。
次女 うん。…国産の線香花火あるかな。

   母親帰ってくる。

母 ただいま、…ただいま。もう、なにぼんやりしてるの?
三女 は、花火を少々。
母 花火?
長女 ヒ、ヒーローごっこを少々。
母 ヒーローごっこ?
次女 や、野球も少々。
母 野球?
次女 お母さん、兄弟っていいね。
三女 姉妹だけどね。
母 この様子じゃちっとも片づけは進んでいないってことだよね。
三女 さすが、この母ありて子ありて、あれ、なんだっけ。
次女 この親にしてこの子ありでしょ。
長女 それって、このタイミングでおかしくないか?
三女 まあいいじゃん。お母さん、私たちのお母さんで良かったね。
次女 なにがあってもお母さんは私たちのお母さんだからね。
長女 お母さんだって、私たちが娘でよかったでしょう。
母 なになに、何なの突然。
次女 腹減った。
三女 そういえば。
母 さあとりあえずお昼にしよう。しっかり食べてしっかりはたらけ。
次女 はーい。
三女 はーい。
長女 はーい。お茶入れるね。
次女 冷たいウーロン茶。
長女 残念でした。もう冷蔵庫は空なの。
三女 そうか。引っ越しって不便だな。
長女 不便が楽しいって言ったくせに。

   長女は台所へ。

三女 ○○ちゃんにかかってるんだからね。
母 ほんと冗談じゃなくて、遅れたら置いていくんだからね。
三女 やたー、唐揚げ。
次女 ほんと好きだね、偏食女。
三女 今日はスナックがなくて残念だね。スナックマニア。
母 やめなさいってば。ほら、座って座って。
次女 宅急便で送るよ。母さんとの思い出、みんなとの思い出、…父さんとの思い出も。
母 え?

   長女戻ってくる。

長女 はい、お茶お茶、熱いからね。どうしたの。
三女 ○○ちゃん引っ越しが間に合わないから、宅配便で送るんだって。なんでもかんでも段ボール箱に詰め込んで持って行くんだって。
長女 そうか。じゃあ、相当大きな段ボール箱用意しなきゃね。
三女 トラック1台分あるかもね。
次女 1台で済むかな?ふふ。(不敵な笑い)
長女 もう。ほらせっかくのお弁当がさめちゃうよ。
三女 わーい、キャンプだキャンプだ。
母 そうだね。じゃあ、食べようか。
全員 いただきます。

  久しぶりにみんなが揃ったお昼ご飯。
  音楽高まる中、幕。

































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