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うしろの正面

Posted by jun-kan on 15.06.23 13:00
上演校名:宮城県石巻北高等学校(2014年)
作   :準
人数  :男子5名・女子8名
上演時間:約57分

キャスト
・森 虎次郎…高2。紗代の兄。ドラム担当       
・森 紗代…高3。虎次郎の妹。作詞担当。
・ルナ…影法師。女の子
・ミムラさん…楽器店に勤務している女性
・チカ…明るく無邪気な裏表のない性格。
・シュウ…頭は良くはないが、本質を見抜ける。

・影法師1=ライト
・影法師2
・影法師3
・影法師4
・影法師5
・影法師6
・影法師7
・影法師8
※影法師は,ライト以外は男子でも女子でも可。

 ME:「♪籠目」
♪籠目 籠目 
      籠の中の鳥は、いつ、いつ、出やる?

歌声の中、幕が開く
     離れた場所にいる紗代と虎次郎。二人を中心にヌキが作られ、その周りに影法師たちが手をつないで回っている。
     虎次郎は少し遠くで、紗代を見ている
    
     ♪夜明けの晩に 
      鶴と亀が滑った
      後ろの正面 だあれ?

     歌が終わると跳ねながら、影法師たち紗代の周りに立つ。紗代の後ろには誰も立っていない。
     影法師たちは、くすくす笑いやひそひそ声、顔を見合わせながら紗代を馬鹿にする。

紗 代:え、あ。
影法師4:(含み笑い)後ろの正面、だあれ?
紗 代:あ…。
影法師2:森、早く。遊びにならないじゃん。
紗 代:えっと…。
影法師3:後ろの正面、だあれ?
紗 代:……。
ライト:また?誰が後ろにいるか、聞いてるだけだよ?
紗 代:……
ライト:どうする?遊びにならないよ。森のこと、ハブく?
紗 代:あ…。
影法師2:後ろの正面、だあれ?

    答えられない紗代、泣きそうな顔になる。

紗 代:…私のうしろには、誰もいない。
影法師3:(からかい笑い)当たり。お前の後ろには誰もいないよ~。
虎次郎:おい!
影法師4:あ、出た。森の兄貴だ!兄貴!
紗 代:(泣きそうに)お兄ちゃん……。
虎次郎:紗代。おいお前ら!紗代をいじめたら、承知しないぞ!
ライト:馬鹿兄貴がきたぞ。コジ、コジキの森。乞食がたくさん。

    虎次郎を馬鹿にしながら、走って逃げていく影法師。
    それを追いかけようとする虎次郎

虎次郎:うるせえ、俺の名前は虎次郎だ。
紗 代:…お兄ちゃん。
虎次郎:紗代、泣くな。俺がいる。
紗 代:…うん。
虎次郎:さあ、家に帰ろう。

    舞台上に照明ヌキが二つでき、それぞれ違うヌキに入る。
    
紗 代:お兄ちゃんは、いつも自分の考えをうまく言えなくて、いじめられている私を一番近くで守ってくれていました。そして、見守ってくれていました。お父さんとお母さんがそろって亡くなったときから…。
虎次郎:大丈夫だ。紗代いつまでも一緒にいるからな。
紗 代:両親がいなくて、寂しい気持ちになっているときも。
虎次郎:一緒にいるからな。
紗 代:ありがとう。
虎次郎:一緒に…。
紗 代:ああ、もうわかりました!

    照明、変換。ルナ、楽しそうに歩いてくる。
紗代、ぼんやりとしていた様子。ルナの声や姿は紗代には感じられない。
    
紗 代:いい加減にしてよ。お兄ちゃん。
虎次郎:だって、いつも一緒にいるって約束しただろう。かわいい妹がいじめられてやしないか、心配で、心配で。
紗 代:心配って?
虎次郎:ちょっと出かけようかなって思ったら、可愛い妹が公園でぼんやりしているんだもん。
紗 代:だもん、って…。それより、出かけるって…。
虎次郎:それに、お前だって、「お兄ちゃん、いつも一緒にいてね」ってよく言っていただろう。お兄ちゃんは神出鬼没なんだ。
ル ナ:ストーカー?
紗 代:一緒にいてって言ったのは、昔の話でしょ。
虎次郎:そんなことないだろう。みんなと遊んでいて、何も言えずに、からかわれて泣いてただろう?
紗 代:それ、幼稚園の時の話でしょ?私もう高校生なんだけど。
虎次郎:父ちゃんと母ちゃんが亡くなった後、俺はお前をちゃんと育てるって、墓の前で誓ったんだ。立派なレディに育て上げるって。
ル ナ:キモい。
虎次郎:だから、俺はお前が結婚するまで、絶対に結婚はしない、彼女は作らないって決めたんだ……。
紗 代:(改まった様子で)兄さん。
虎次郎:なんだ、急に改まって。
紗 代:自分がモテないことを、私のせいにしないでください。
虎次郎:え?何言ってんだ。俺が流し目をすれば、女の子の一人や二人。
紗 代:気持ち悪いって、逃げていったことあったよね。
ル ナ:変質者?
虎次郎:いや、あれは、俺の肩にとまっていた虫を気持ち悪い、と言っていただけで。
紗 代:(さらに改まって)兄さん。
虎次郎:何だろう?二人の間に壁ができたような気もするけど…。
紗 代:哀れみの気持ちでいっぱいです。
虎次郎:ノォォォォー。紗代―。
紗 代:残念ながら、その女の子達、「粘着質な目で私たち見てるよ、キモい」って。
ル ナ:ゴミ虫。
虎次郎:昔はあんなに可愛くて、プルプル震えながら俺の服の裾とか、つかんでいたのに…。
紗 代:だから、それ昔の話でしょ。幼稚園の時…。
虎次郎:そう、幼稚園くらいの頃はとてもかわいかったな~。ね?ルナちゃん。
紗 代:ルナ?

    紗代には、ルナが見えない。

ル ナ:虎次郎、そろそろ行こう。
虎次郎:いいぞ。今日は、どこ行こうかな~。
紗 代:ねえ、お兄ちゃん。
虎次郎:遊園地行ってみようか。
ル ナ:うん。
虎次郎:紗代は時間、大丈夫なの?
紗 代:え?何の?
虎次郎:待ち合わせの時間、そろそろだって言ってなかった?

    紗代、おそるおそる腕時計を見る。

紗 代:あああああ、遅刻する。
虎次郎:いってらっしゃい。
ル ナ:いってらっしゃい。
紗 代:とりあえず、行ってきます。

    紗代、慌ててハケる。

ル ナ:行ったね。
虎次郎:慌てて、転ばなきゃいいけど…。


    何となく、紗代を見送っている二人。
    影法師たち、舞台に現れ、虎次郎をチラチラ見ながら歩いたり止まったりする。。

ル ナ:あ、転んだ。
虎次郎:はあ。だから心配なんだよな。
ル ナ:何が心配?
虎次郎:兄貴だからな。紗代って、自分の思っていることも、なかなか言えないし。
ル ナ:そう?さっき、虎次郎のこと、ずいぶん批難していなかった?
虎次郎:批難って、よくそんな難しい言葉知っているね。
ル ナ:うん。そういう言葉大好き。「キモい」とか、「ウザい」とか。
虎次郎:ルナちゃん、そんな汚い言葉、使っちゃいけませんよ。
ル ナ:そう?虎次郎、その言い方、粘着質でキモい。
虎次郎:ノォォォォォー。

    影法師達、虎次郎をゆっくりと見つめ、虎次郎とルナが話している前をわざと通り過ぎる。

虎次郎:おい、お前達。人が話をしているのに、前を…。
ライト:メメント、モリ。
虎次郎:何?

    誰も答えない。影法師は虎次郎の声には答えない。

虎次郎:(首をかしげながら)行こうか。ルナちゃん。
    
虎次郎・ルナ、ハケる。それとクロスして、チカ、シュウ、舞台に入ってくる。
チカとシュウの会話が始まる辺りで、徐々に影法師たち、ハケる。

シュウ:紗代の様子、どうなの?
チ カ:うーん。もともと考えてることを言う方じゃなかったけど、あの一件以来、まったく話さなくなったみたいだよ。
シュウ:ま、わからなくもないよな。
チ カ:え?シュウ?紗代ちゃんの気持ちがわかるの?すごい。
シュウ:まあな。女心と秋の空っていうだろ。
チ カ:え?上の空じゃなかったっけ?
シュウ:そうだっけ?
チ カ:よくわかんないし。
シュウ:そうだな。(二人で一緒に笑う)
チ カ:でも、みんな集まるっていうのも、久しぶりだよね。
シュウ:だよな。このまま解散かなって、思っていたから。
チ カ:別にプロのバンドってわけでもないし、たまたま音楽好きが集まってやっているだけだから、一人でもメンバーが欠けたら、その時点で終わりだと思っていたよね。
シュウ:コジちゃんの一件があったからな~。それにしても、まさか紗代が、ここに来るって言うと思わなかったよ。
チ カ:その辺はやっぱり、ミムラさんだよね。だてに年食っちゃいないよ。

    ミムラ、楽しそうな顔で入ってくるが、二人の話を聞いている内に引きつった笑顔になる。

ミムラ:だれが、年齢以上に若く見えるって?
シュウ:(平然と)いや、ミムラさんは年食って変化した化け物だって、話じゃなかった?猫又もネコが年取って化け物になったんでしょ?
チ カ:いやいや、そこまでは言ってないでしょ。
ミムラ:ま、どうでもいいんだけどさ。
シュウ:本当だよな。
ミムラ:(ちょっと皮肉っぽく)相変わらず、元気そうだね。
シュウ:前に集まったのって、いつだっけ?
チ カ:二年前。コジちゃんの時。
ミムラ:そっか。もう、二年経つんだね。なんか、最近のことのような気がするけどね。
シュウ:(話題を変えるように)ミムラさんは、楽器やってたの?
ミムラ:うん?ま、そこそこ。仕事だしな。
チ カ:そっか、楽器屋さんだもんね。いじりはするか。
シュウ:チカはどうなんだよ。お前は別に歌おうと思えば、すぐ歌えるだろ。
チ カ:そりゃね。でも、あたしたちの曲とかは歌おうとは思わなかったな。
シュウ:じゃあ、俺だけだな。俺はギター、一応弾いてたぞ。
ミムラ:偉いじゃないか、シュウ。
シュウ:まあな、他にやることも、ないし。
チ カ:暇人なんだ。
シュウ:まあな。学校だけだと、つらいし。
ミムラ:学校って、そろそろ卒業じゃないのか?
シュウ:ああ、聞こえないし、聞きたくないな。
ミムラ:現実から目を背けてはいかんな。
チ カ:そうそう。
シュウ:ねえ、ミムラさん。ミムラさんとこの店で、俺のこと雇ってもらう訳には…。
ミムラ:(急に咳き込む)ゴホゴホ。
シュウ:どうした、ミムラさん?
チ カ:(明るく)ミムラさんとこで働くとか言うからでしょ。そりゃ、私でも驚くわ。
シュウ:いや、それにしたって。
ミムラ:(真剣に)本当にやる気あるのか?
チ カ:やめなよ。ミムラさん。シュウはおつりの計算出来ないよ。
シュウ:レジ使えば余裕だろ?俺としては、楽器続けていければいいんだけどな。バイトとかしてさ~。
チ カ:うわ、人生設計、甘甘。プリンにはちみつかけて、その上に生クリームを載せて、さらに黒みつ、かけている感じ。
シュウ:うっせえな~。あ~あ、コジちゃんが羨ましいな。
ミムラ:シュウ!
シュウ:冗談だよ、ミムラさん。
チ カ:シュウ、最低。
シュウ:なんだよ。チカまで。
ミムラ:言っていい冗談と、
シュウ:悪い冗談があるんだろ。いや、分かってるよ、もちろん。

    紗代、舞台上に現れる。なかなか輪の中に入れない感じ。

チ カ:紗代ちゃんも、高3だったよね。どうするんだろ。
シュウ:色々考えて決められない、っていうパターンじゃないかな。
チ カ:やっぱり、シュウ、結構、紗代ちゃんのこと考えているんだね~。もしかして?
ミムラ:もしかして、そうなのか?意外。
チ カ:こんなにアホなのにね~。紗代ちゃんのことになると、鋭いのかな?
ミムラ:ちょっと安心~。シュウのこれからのことを考えると、お先真っ暗だな、と思っていたけど、紗代が一緒なら安心だ。
シュウ:何の話をしているんだよ?

    紗代に気づく、チカ。

チ カ:あ、紗代ちゃん。
シュウ:お、おう。
紗 代:すいません。遅れました。
ミムラ:よく来たね、紗代。急に呼んで悪かったな。
紗 代:あ、いえ。
チ カ:ミムラさん、今日集まった理由って?
ミムラ:いや、久々にみんなに会いたくなってさ~。
シュウ:なんだよ、ミムラさん。ばあさんみたいなこと言って。
チ カ:確かに弱気な感じだね。なんだか、ミムラさんっぽくないよ。
シュウ:お、そういえば、やせたんじゃないのか?
ミムラ:お世辞言ったって何も出ないぞ。
シュウ:(笑って)ばれたか。
チ カ:でも、なんだか顔色良くないよ。
ミムラ:いや、こんなに長いこと、みんなに会わないということ、なかったからな。なんだか寂しくなってさ。
チ カ:毎日のように会ってたもんね。
シュウ:だよな、「メジャーデビューしてやる!」とか、言ってさ。
チ カ:それ言ってたの、シュウとコジちゃんだけでしょ。
ミムラ:そうだったな。
紗 代:(その時のことを思い出したように笑って)懐かしいな。
チ カ:私が歌って、シュウがギターで、ミムラさんがベース。
シュウ:コジちゃんがドラムをして。
ミムラ:紗代が作詞をしてくれて。
シュウ:なんだか、紗代の詩って不思議な感じなんだよな。普段、話をしない紗代が、こんな事考えてるんだ、みたいな。
ミムラ:それなんだ。また、紗代に作詞してもらいたいんだ。
紗 代:え?
シュウ:もう一回やるの?
ミムラ:嫌か?
シュウ:紗代、書けるのか?もともと、コジちゃんがいたから、書いてたんだろ?
チ カ:そういえば、コジちゃんって、勝手に一人で決めちゃうってところ、あったよね。
シュウ:台風みたいだったよな。ミムラさんがいたから、なんとか、まとまっていたけど、いなかったら、絶対に俺ケンカしてたな。
チ カ:それは言えてるかも。シュウが、紗代ちゃんに近づこうとすると、なんか怒ってたし。
シュウ:「アホがうつるから、半径3m以内に近づくな」って言われたぜ。
ミムラ:詩はほとんど紗代が作っていたし、なんかもう一回くらいみんなとやりたくてさ。どう?
紗 代:……。
チ カ:無理なら、無理って言ってもいいんだよ。
シュウ:え~、でも俺、もう一回やりたいな。
チ カ:いや、そうだけどさ。無理強いはできないじゃん。
ミムラ:ちょっと前向きに考えてよ。…とりあえず、みんな集まっただけでも今日は嬉しかったよ。
紗 代:…はい。
チ カ:ね、今日はこれで話終わり?だったら、みんなで食事行こうよ。
シュウ:いいね~。
ミムラ:じゃあ、今日は私がおごるよ。
チ カ:やった!ミムラさん、太っ腹。
シュウ:太鼓っ腹。
ミムラ:シュウは自分の分、自分で払えよ。
シュウ:そんな~。
紗 代:(居づらそうに)…私は、帰ります。
ミムラ:そうか。
紗 代:すいません。
チ カ:ううん。じゃ、またね。
シュウ:さ、飯だ。

    紗代、ハケる。
    影法師が増えてくる、そして、足を止めてミムラを見る。
    ミムラ・チカ・シュウ、ハケる。
    虎次郎、ルナ歩いてくる。
    影法師、虎次郎を少し見て、徐々にハケる。

虎次郎:ルナ、どこかいきたいところあるかい?
ル ナ:んー、ディズニーランド
虎次郎:ディズニーランド?いやいや、そんな遠い所じゃなくて。
ル ナ:じゃあ、宇宙。
虎次郎:宇宙って、もっと遠いと思うけど…。
ル ナ:ロケットに乗ってみたい。
虎次郎:ロケットに乗るためには、ちゃんと訓練とかしなければいけないんだよ。
ル ナ:いいよ。訓練する。何するの?
虎次郎:いや、よくは分からないけど…、いっぱい走ったりとか、
ル ナ:走ればいいの?じゃあ、走ろう。
虎次郎:あそこの電柱まで走ろうか。
ル ナ:訓練でしょ?ディズニーランドまで走ろう。
虎次郎:うぇえー、ここからだと最低でも片道500キロはあるけど…。
ル ナ:訓練。
虎次郎:せめてベニーランドにしない?
ル ナ:だめ。
虎次郎:どうしてそんなに行きたいの?
ル ナ:ディズニーランドには、「二足歩行するネズミ」がいるって聞いた。ベニーランドにもいる?
虎次郎:「二足歩行のネズミ」って…。いや、いないけどさ。
ル ナ:じゃあ、だめ。捕獲して、家で飼うんだから。
虎次郎:遊びにいくんじゃなくて、狩りに行くの?
ル ナ:うん。オスとメスがいるんでしょ?結婚させて、いっぱい増やすの。
虎次郎:増やしてどうするの?
ル ナ:「青くて耳のない、お腹にポケットがあるネコ」に食べさせるの。
虎次郎:ブラックだね。そこはかとなく、ブラックだね。それにそのネコだと、ネズミ見たら、逃げちゃうよ。
ル ナ:ネコなのに、逃げるの?
虎次郎:ネズミだったら、動物園とかにもいるよ。カピバラさんとか。
ル ナ:二足歩行する?
虎次郎:いや、しないよ。
ル ナ:じゃあ、だめ。

    そこへ、シュウ入ってくる。

虎次郎:あ、あいつ。
ル ナ:誰?
虎次郎:いや、シュウっていう奴なんだけどさ。
ル ナ:シュウ?知り合い?
虎次郎:そう。紗代のことを困らせる奴なんだ。
ル ナ:ふ~ん。そんな悪そうな人に見えないけど。
虎次郎:人は悪くないんだけど、頭が悪い奴なんだ。

    そういって、虎次郎、シュウの後ろから近寄ろうとする。

ル ナ:やめたら。
虎次郎:いや、久々だから、色々からかってやる。

    シュウ、キョロキョロしている

虎次郎:(驚かす感じで大声で)おい、シュウ。ずいぶん久しぶりだな。

    シュウ、ケータイを取り出す。

虎次郎:返事なしかよ。偉くなったもんだな。

    シュウ、顔を少し上げるが、反応しない。

虎次郎:おい、シュウ?

    シュウ、溜め息をつき、また出て行く。まっすぐ歩いてくるシュウを慌ててよける虎次郎。

影法師2:メメント、モリ。
虎次郎:あ?シュウなんか言ったか?

    シュウ、気にせずハケる。

虎次郎:なんだ、あいつ。
ル ナ:ねえ、虎次郎。ベニーランドでもいいから歩いて行こうよ。
虎次郎:いいけど、ちゃんと最後まで歩いてよ。おぶったりしないからな。

影法師たち、歩いている。
    二人、ハケる。それとクロスして入ってくるミムラとチカ。

ミムラ:シュウはどこに行ったんだ?
チ カ:さあ、「飯だ飯だ」とか騒いで、一人でずんずん行っちゃったからね。

ミムラ:落ち着きのないところが、私は心配だよ。チカ、ちょっと、そこら辺探してきて。私、あっちを見てくるから。
チ カ:うん。

    二人、反対側にハケる。
    影法師たち、ミムラの後を追いかける。
    紗代、舞台上に入ってくる。

紗 代:…どうしよう、かな。

    そこへ虎次郎が来る。

虎次郎:あれ?紗代?
紗 代:お兄ちゃん?
虎次郎:何してるんだ、こんなところで?
紗 代:お兄ちゃんこそ、何やっているの?
虎次郎:いや、ルナと歩いてたんだけど、気がついたら、ルナがいなくて。
紗 代:何?
虎次郎:お前こそ、ここで何やってるんだ?
紗 代:ん?考え事。
虎次郎:そっか。
紗 代:…ね、ミムラさんたち、もう一度、曲作るんだって。
虎次郎:へえ~。
紗 代:それでね、私に作詞をしてって言うんだけど…。
虎次郎:いいじゃないか。紗代の才能に、みんな、ようやく気づいたんだな。
紗 代:……。
虎次郎:なんだ?紗代はやりたくないのか?
紗 代:…わからない。もともとやりたいって思ったことないし。
虎次郎:やりたくないなら、断ればいいだろ。
紗 代:…やりたくないわけでもないんだけど。どうすればいいかな?
虎次郎:紗代。いつも言ってるけど、自分のことなんだから、自分で決めればいい。
紗 代:わかんない。どっちでもいい。
虎次郎:やりたいこと、ないのか?
紗 代:やりたいこと?…考えたことないや。
虎次郎:紗代、あのな。そんな生き方、楽しいか?
紗 代:…どういうこと? 
虎次郎:いや、俺だったら、
紗 代:お兄ちゃんだったら、何?
虎次郎:自分のしたいこと、自由にやるけどな。
紗 代:それで、相手に迷惑かけたとしても?
虎次郎:どういうことだ?生きている以上は、だれかに迷惑はかけるもんだろ。
紗 代:……もう、いい。
虎次郎:とにかく、やりたいことをやらなかったら、生きてても死んでるのと同じだろ?

    紗代のケータイが鳴る。

紗 代:あれ?鳴ってる。
虎次郎:話の途中なんだけど。
紗 代:あれ、チカちゃんからだ。どうしたんだろ?
虎次郎:出たら。遊びの誘いかもよ。
紗 代:さっき、断ったんだけどな。
虎次郎:たまには、同年代の子と遊びにいけばいいのに。
紗 代:(電話に出て)…はい、紗代です。(聞く)え?チカちゃん、よく分からないよ。(聞く)ミムラさんが?倒れた?だって、さっき元気だったじゃない?(聞く)今、総合病院に向かってる?うん、わかったから、私も、今、行くから。(ケータイを切る)
虎次郎:ミムラさん、なんかあったのか?
紗 代:ミムラさんが倒れたらしいんだけど。チカちゃん、混乱してるみたいでよくわからないんだ。私、ちょっと行ってくるね。

    そう言って、紗代ハケる。
    
虎次郎:おい、紗代?

    ルナ、気づくと舞台上にたたずんでいる。

ル ナ:虎次郎。
虎次郎:ルナ、迷子にならないでよ。
ル ナ:迷子なのは、虎次郎でしょ?
虎次郎:ええ!俺もう高校2年生だし、迷子にはならないつもりだったんだけど。
ル ナ:恥ずかしいね。見た目は高校生、中身は幼児、みたいで。
虎次郎:とりあえず出かけよう。総合病院に行くって、紗代が言ってたから。俺たちも行こう。
ル ナ:ね、虎次郎。ベニーランドは?
虎次郎:今、それどころじゃないから。
ル ナ:「二足歩行ネズミ」いる?
虎次郎:ああ~。病院には「二足歩行ネズミ」は、いません。

    二人、ハケ始める。
影法師たち、入ってくる。それとクロスして、落ち着かない様子のチカ入ってくる。
反対側から、キョロキョロしているシュウ、入ってくる。

チ カ:シュウ、こっち。
シュウ:あ、ああ。ミムラさん、大丈夫なのか?
チ カ:わかんない。気づいたら、ミムラさん、道の真ん中で倒れていて、意識がなかったの。
シュウ:体調悪かったのかな?

    紗代、入ってくる。

紗 代:チカちゃん。
チ カ:紗代ちゃん、どうしよう。
紗 代:どうしようって、どうしたの?電話じゃよくわかんなかったけど。
チ カ:ミムラさん、病気だったんだって。
シュウ:病気?
チ カ:うん、ちょっと前から体調崩してて、入院してたらしいの。今日、病室から突然抜け出したみたいで。
シュウ:そんなこと、さっき会ったときは、一言も言ってなかったじゃん。
紗 代:それで?今は?
チ カ:意識がないって。集中治療室に入ってるんだけど。

    虎次郎、ルナ、舞台に入ってくる。

虎次郎:(みんなを見つけて)あ、いたいた。

    虎次郎に気づく紗代。

紗 代:ちょっと、ごめん。

    シュウとチカにそう言って、二人から離れ、虎次郎に近づく紗代。

虎次郎:紗代。
紗 代:(小声で)ミムラさん、病気で入院してたんだって。
虎次郎:入院?
紗 代:今日、私たちに会うために、病室を抜け出してきたんだって。
虎次郎:え、嘘だろ。

    影法師たち、入ってきて虎次郎を見つめる。
    
シュウ:これからどうなるんだ?
チ カ:とりあえず、緊急の手術になるかもしれないって。
シュウ:手術?
チ カ:ただ、それでも、厳しいかもしれないって。
紗 代:そんな。

    上袖から弱々しい明かりが漏れてくる。
    影法師たち、そちらに向かう。

虎次郎:何だ?あの光。

    影法師たちライトを先頭に、上袖に向かう。

虎次郎:なんだ、あいつら。

    舞台上袖の明かり、強くなる。
    その光の中、ミムラ、影法師たち出てくる。 
影法師たち、ライトを残しハケる。

シュウ:ミムラさんって、家族いるのか?
紗 代:遠くに住んでるって、いってなかった?
チ カ:あんまり連絡とってない、とか言ってたよね。

    ミムラ、ゆっくりと歩いてくる。

虎次郎:え?ミムラさん?

    ミムラ、虎次郎の顔を見て、驚く。

ミムラ:虎次郎か?
虎次郎:なんだよ、本当に人騒がせだな。勘違いかよ。な、紗代。
紗 代:お兄ちゃん?何、言ってるの?
虎次郎:いや、だってミムラさん、こんなに元気じゃないか。
紗 代:え?今、意識がないって。
虎次郎:なんだよ。みんな、よく見ろよ。ミムラさん、ここにいるだろ。

    虎次郎、そういうが、紗代にはミムラの姿が見えない。

虎次郎:へ?シュウ、チカ、お前たちには、ミムラさんの姿、見えるよな?

    シュウとチカには、虎次郎の声が聞こえない。

虎次郎:え?どういうこと?

    チカ、いてもたってもいられなくなった様子で、中に入る。
    シュウ、紗代も続いて病室に入る。

虎次郎:なんなんだ?いったい。

    いつの間にか、ミムラの横にライトが立っている。

ライト:やあ。
ル ナ:こんにちは。
ミムラ:あなたは?
ライト:ライトだよ。案内人だ。
ミムラ:そう。
虎次郎:何?案内人って。
ライト:(ルナに)分かってないの?
ル ナ:そう、わかってないの。
虎次郎:(状況が分からない感じで)うん、全然よくわからない。

    チカ、病室から出てきて、そのまま下手に走っていく。
    その後を追うように、シュウ、紗代出てくる。

シュウ:チカ!
紗 代:チカちゃん。
虎次郎:な、なんだ?
シュウ:紗代、ちょっと、俺、追っかけてくる。
紗 代:う、うん。
   
    シュウ、ハケる。

虎次郎:紗代、どうしたんだ?
紗 代:ミムラさんの心臓が、止まったって。
虎次郎:は?
紗 代:チカちゃん、それ聞いてびっくりして。
虎次郎:そんなわけないだろ。
紗 代:お兄ちゃん、何言ってるの?さっきから。
虎次郎:いや、ミムラさん、ここにいるじゃないか。
紗 代:ごめんね、私もチカちゃんのことを追っかけるから。
虎次郎:いや、待てよ。紗代。
紗 代:何?
虎次郎:俺の話をちゃんと聞けよ。
紗 代:お兄ちゃん、いつもそうだね。
虎次郎:え?
紗 代:いつも自分のことが中心。私の話や、周りの人の話は全然聞かない。
虎次郎:いや、そんなことは。
紗 代:さっきだって、そう。
虎次郎:さっき?
紗 代:詩のこと。
虎次郎:曲の話?
紗 代:もともと、わたしはやる気はなかったのに、お兄ちゃんが、無理矢理みんなのところに連れて行ったんでしょ。そして、詩を書けって。それなのに、自分で決めろっておかしいじゃない。
虎次郎:紗代。作詞するの嫌だったのか?
紗 代:嫌とか、嫌じゃないとかじゃなくて…。
虎次郎:何だよ。俺は紗代のためを思って…
紗 代:それが嫌なの。
虎次郎:それ、って?
紗 代:私のため、っていうのが嫌なの。
虎次郎:だって、紗代は人付き合いも得意なほうじゃないだろ。だから、みんなと関われるようにって思って、
紗 代:それで、バンドに誘ったの?私、一度でもそんなこと頼んだ?
虎次郎:いや、だって…。二人きりの家族だろ。心配なんだよ。
紗 代:二人きりの家族?
虎次郎:そうだよ、だから心配するの、当たりまえだろ。
ル ナ:二人?

    影法師たち、舞台上に現れ、虎次郎をじっと見つめる。

虎次郎:なんだよ。ルナ。
ル ナ:虎次郎。
紗 代:お兄ちゃん…。
ル ナ:まだ、わからないんだ?
紗 代:…本当に、わかってないの?
虎次郎:ルナ、紗代。何がだ?
紗 代:お兄ちゃん、私には、もう家族はいないよ。
ル ナ:ひとりぼっち。
虎次郎:何言ってんだよ。俺がいるだろ。
ル ナ:いるの?
紗 代:……。

遠くから「籠目、籠目」の歌が聞こえてくる。

♪籠目 籠目 籠の中の鳥は いつ いつ 出やる
虎次郎:いるだろ。こうしてここに。
ル ナ:本当?
虎次郎:紗代、たしかに、俺は口うるさいかもしれないけど、ちゃんと、お前のことを。
紗 代:心配してくれているんだよね?私のこと。
虎次郎:当たり前だろ。お前は俺の妹だし、お前のことが心配なんだよ。死んでるように生きていて欲しくないんだよ。
紗 代:……。

♪夜明けの晩に 鶴と 亀が すべった

虎次郎:お前はいつも上辺だけは楽しそうに見せようとしているけど、本当は全然楽しんでいないだろう。
紗 代:……そう。
虎次郎:俺を見ろよ。俺は自分の思ってること、しっかり話せているし、楽しんでいるぞ。
紗 代:……。
虎次郎:俺が言いたいのは。
紗 代:死んでるじゃない。
虎次郎:え?
紗 代:お兄ちゃん、もう死んでるじゃない。

♪後ろの正面 だあれ?

虎次郎:何を言ってるんだ、紗代。
紗 代:お兄ちゃん、二年前に…。
虎次郎:(笑って)どうした急に?そこまで俺と距離を置きたいのか?
紗 代:お兄ちゃん、今、何歳?
虎次郎:何だよ、急に?
紗 代:いいから答えて。
虎次郎:高校2年生。
紗 代:おかしいでしょ。私、もう高校3年生なんだよ。お兄ちゃんが、ずっと高校2年生って、おかしいでしょ。
虎次郎:高3?
紗 代:…お兄ちゃん、私としか、話していないでしょ。不思議じゃないの?
虎次郎:いや、ルナだって。
紗 代:…お兄ちゃん、時々ルナって言ってるけど、何のこと?
虎次郎:この子だよ。

    ルナを前に出すが、紗代見えていない。

虎次郎:紗代?どうしたんだよ。なあ、ミムラさんからも、何か言ってくれよ。
ミムラ:虎次郎、紗代の言っていることは本当だよ。
虎次郎:え?
ミムラ:お前はすでに二年前に、亡くなっている。
虎次郎:……ミムラさんまで。
紗 代:お兄ちゃん、もう私のこと心配しないで。私のせいにして、私のことを見守らなければって思わなくていいよ。
虎次郎:紗代…。
紗 代:さようなら。

    紗代、ハケる。

虎次郎:おい、紗代。
ミムラ:虎次郎。
虎次郎:なんだよ。ミムラさん。
ミムラ:私たちはもう死んでるんだよ。だから、みんなに私たちの声は届いていない。そうでしょ、ライト?
ライト:物わかり、いいね。おばさん。
ミムラ:口がわるい案内人だ。
虎次郎:じゃあ、ミムラさんは幽霊なのか。
ミムラ:あんたもそうなんだよ。虎次郎。あんたは、増水した川で、溺れた女の子を助けようとして、川に飛び込んだんだよ。
虎次郎:川に?
ミムラ:それであんたは、二年前に亡くなったんだ。まさか、その後も、ずっと紗代の近くにいたとは知らなかったよ。
ライト:時々いるんだ。自分の死に気づけない人が。その点、ミムラは話が早くていい。
影法師2:メメント、モリ。
影法師3:メメント、モリ。
影法師4:メメント、モリ。
影法師達:メメント、モリ。
虎次郎:何だよ。メメント、モリって、何のことだよ。
ル ナ:「メメント、モリ」、「死を思え」。
虎次郎:ルナ?
ル ナ:ようやく、聞こえたんだね。
虎次郎:じゃあ、やっぱり俺は…。

影法師4~7、虎次郎の周りを「籠目、籠目」の要領で回り始める

    ♪籠目 籠目 籠の中の鳥は いつ いつ 出やる  

ル ナ:メメント、モリ。
     虎次郎の記憶がフラッシュバックされる。
     引割幕が開き、照明転換する。
     SE:雨の音

影法師5:大変だ。女の子が川に落ちたぞ。
虎次郎:え?
影法師6:どうしよう、大雨で川は増水しているのに。
影法師7:だれか、あの女の子を助けてあげてよ。
影法師4:この川の流れじゃ、助けに行った方まで、流されるよ。
影法師6:かわいそうだけど…。
虎次郎:何言ってるんだよ。こんなに人がいるのに、誰も助けないのかよ。
影法師5:だって、どうしようもないだろ。
影法師4:誰だって、自分のことが一番大事だし。
影法師7:私たちにだって、家族はいるんだよ。危険なことはできない。
虎次郎:俺が行く。
影法師4:あぶないよ。
虎次郎:目の前で困っている人のことを、見ない影法師7なんかできない。
影法師5:君には大事な家族や友人がいないのか。万が一のことがあれば…。
虎次郎:俺にも妹がいる。でも、ここであの子を見捨てたら、紗代は俺のことを許さないはずだ。紗代は俺のことをわかってくれるはずだ。
影法師6:助けがくるのを待った方がいいんじゃないか。
影法師7:あ、女の子が見えなくなった。
虎次郎:俺は自分の生き方を曲げるつもりはない。曲げたら、生きてても死んでるのと同じだ。ここで助けに行かなかったら、一生後悔し続けることになる。

    影法師2・3、大布を持って現れる。それは川の流れのように荒々しく動く。

虎次郎:待ってろよ。今行く。

    虎次郎、川の中に入るようなしぐさ。
    その瞬間、影法師たち、布を取り出す。回りながら布をはためかせ川の流れのように。
    
虎次郎:大丈夫だ。助ける。

    虎次郎、女の子を助ける。その瞬間、流れが強くなり、虎次郎を巻き込む。
    影法師2・3、虎次郎に布を巻きつける。

虎次郎:紗代!

    影法師たち、虎次郎を呑み込むように虎次郎の前に布を広げ、立つ。
    虎次郎、布にのみこまれる。
    
♪夜明けの晩に 鶴と亀がすべった 
後ろの正面 だあれ?
    ルナ、虎次郎の前に立ち、虎次郎を高台まで誘導する。

♪籠目 籠目 籠の中の鳥は
いつ いつ 出やる
夜明けの晩に 鶴と亀がすべった 
後ろの正面 だあれ?

虎次郎:……「籠目、籠目」の歌は嫌いだ。暗い感じがするし、「後ろの正面」ということばの意味が分からない。「後ろにいる人」ではなく、どうして「後ろの正面」なんだよ。「後ろ」にいる人の「正面」なら、自分のことになっちゃうじゃないか。「自分」が誰か分からないなんて…。

    虎次郎、自分の姿を見る。

ル ナ:メメント、モリ。
虎次郎:…本当は、何となくおかしいと思っていたのかも知れない。誰に話しかけても反応しないし。聞こえているのは紗代だけだったから。
ル ナ:無我夢中で川に飛び込んだからなのかな?今まで、虎次郎は、自分が死んでいることに気づいていないみたいだった。あんなにも、みんなが虎次郎が死んでいることを、教えていたのに。
影法師3:メメント、モリ。
影法師2:メメント、モリ。
虎次郎:聞こえてはいたよ。でも意味が分からなかった。
ル ナ:そう。
虎次郎:どうして、俺はここにいるんだ?死んだら天国とかに行くんじゃないのか?
影法師3:強い心残り。
影法師4:無意識に彼女から離れることを拒んだ。
虎次郎:ああ、紗代は…。一人ぼっちにできないだろ。父親も母親も亡くして。たった一人の家族の俺がいなくなるなんて…。
影法師3:だから?
虎次郎:だからって?
影法師2:お前が側にいる意味はあるの?
虎次郎:意味って。
影法師3:彼女はつきまとって欲しくないみたいだよ。
虎次郎:つきまとって欲しくない?
影法師4:そう言っていたじゃない。「さようなら」って。
虎次郎:それは、
ル ナ:それなのに、一緒にいる意味って、あるの?唯一話せる相手って、紗代だけでしょ?
虎次郎:……。
ル ナ:ねえ、虎次郎?今まで、ここにいたこと自体が不自然なことなんだよ。
虎次郎:不自然?
ル ナ:不自然なままで、ここにいるとそのうち取り込まれちゃうよ。
虎次郎:何に?

    死者の世界、暗くなり、生者の世界、明るくなる。
走り込んでくる、紗代

紗 代:どういうことよ。お兄ちゃん、自分が死んでること、分かってないって…。
チ カ:(出てきながら)あれ?紗代ちゃん?
紗 代:チカちゃん、落ち着いた?
チ カ:少しね。あんまり、落ち込んでたら、ミムラさんに怒られちゃうかもしれない。
紗 代:そう…。
チ カ:うん、辛いとき、苦しいときほど、明るい顔をしろ!っていつも言われてたから。
紗 代:ね、チカちゃん、私、大事な人に、大変なこと言っちゃったかも。
チ カ:え?大事な人って、シュウ?
紗 代:シュウ?どうして?
チ カ:いや、シュウもなんか紗代ちゃんのこと、心配していたみたいだし、もしかしたらって。わかった、私に任せて。
紗 代:ちょ、ちょっと、なんか急に元気になってない?
    
チカ、紗代の手を引いてつれて行く。
    生者の世界、暗くなり、死者の世界、明るくなる。

虎次郎:とりこまれるって?
ル ナ:この世界に。
虎次郎:「この世」ってこと?
ル ナ:そう。
虎次郎:「この世」に取り込まれて、まずいの?別にいいんじゃない。
ライト:「この世」に取り込まれると、ずっとここにいることになる。
影法師2:死者は、次のサイクルに行かないと…。
影法師4:「この世」に取り込まれると、動けなくなる。
ミムラ:地縛霊みたいなものか?
ル ナ:う~ん。そうなのかな?
虎次郎:動けなくなると、だめなのか。
影法師3:ずっと、「この世」に縛り付けられる。
ライト:知っている人が死んだ後も、ずっと。
虎次郎:ずっと?ずっとって、いつまで?
影法師2:ずっと。誰もいなくなっても、ずっとここに居続ける。
影法師4:ずっと、途中で嫌になったとしても、ずっと。
ル ナ:虎次郎、紗代がいなくなっても、ずっとこの世にいる?それでいいの?
虎次郎:……。

    死者の世界、暗くなり、生者の世界、明るくなる。
    チカ、紗代の手を引っ張ってくる。

紗 代:ちょっと、チカちゃん。どこ行くのよ。
チ カ:え?どこって、シュウのとこ。
紗 代:何で?
チ カ:大事な人とは、ちゃんと話さなきゃ。
紗 代:ちゃんと話す?
チ カ:そうそう。逃げてばかりじゃ、先に進まない。
紗 代:進まない?
チ カ:当たり前じゃない。話もちゃんとしないで、相手に気持ちをわかってもらおうなんて、虫のいい話ないよ。
シュウ:やっと、見つけた。
チ カ:(楽しそうに)シュウ、紗代ちゃんが話があるんだって。
紗 代:チカちゃん。
チ カ:じゃあ、あたしは、これで。ミムラさんのところに戻ろうかな。
    
含み笑いをしながら、チカ、物陰に隠れる。

シュウ:なんだ?あいつ。
紗 代:…シュウ、もし、もしもだよ。亡くなった後、その人がまた自分の前に現れたとして。
シュウ:え?
紗 代:もしもの話だよ。死んだ後も自分のことを心配して、いつまでもずっとそばにいて、お節介に自分のことを心配して、見守ってるとか言われたらどうする?
シュウ:え?
紗 代:あ、ごめん。なんでも…。
シュウ:あり得ない話なんだろうけど。
紗 代:う、うん。
シュウ:「もういいよ」って言うかな。
紗 代:え?
シュウ:だって、嬉しいけど、
紗 代:嬉しいけど?
シュウ:(笑って)困るよな。いつまでも、自分が成長してないって、言われてるみたいで。だから、きっと、「もういいよ」って言うよ。「もう心配しなくて良いよ、ありがとう」って
紗 代:あ…。

シュウ:もちろん、俺のことを心配してくれてありがたいけど、もっと自分のことも考えて欲しいじゃん。死んでまで縛ってるみたいで、やっぱり嫌かな。
紗 代:…(笑って)そうだよね。
シュウ:あれ?なんか、俺、変なこと言った?
紗 代:ううん。…シュウ、ありがとう。大好き。
シュウ:え?
紗 代:病院に戻るね。

    そう言って、紗代ハケる。

チ カ:おお~。紗代ちゃん、よく言った。
シュウ:あれ?チカ。
チ カ:だめじゃん、シュウ。女の子に告白させて。
シュウ:え?今の告白なの。
チ カ:いいな~、大好きとかって。
シュウ:え?え?告白?そうなのか?
チ カ:ほらほら、何やってんのよ。紗代ちゃんが照れてどっか行ったんだから、ちゃんと後を追っかけて、答えて上げないと。
シュウ:おい、押すなよな。

    そう言いながらチカ、シュウ、ハケる。
    生者の世界、暗くなり、死者の世界、明るくなる。

ル ナ:虎次郎…、紗代も、その内いなくなるよ。結婚して子どもができて、孫ができて、そして死ぬ。その後までこの世界にとどまるの?
虎次郎:だって……。

    その時、影法師の動きが変わる。

虎次郎:何だ?
ル ナ:誰かの、寿命が終わるみたい。…この近くで。
虎次郎:この近くで?
ル ナ:そう、毎日、毎時間、毎分、毎秒、地球上のどこかで誰かの命の灯火は消える。それは事実。
虎次郎:そう、だよな…。そういやさっき、ミムラさんの時も、あいつらあんな感じだったな。
ミムラ:そうか…。あいつらは、何なんだ?
ライト:影法師さ。
ミムラ:影法師?
ライト:そう。彼らも、私も、ルナも、影法師。死者を次の世界へ案内する水先案内人だ。
虎次郎:あんた達と、おんなじ?
ミムラ:なんだか、ライトとルナとは違う感じに見えるけど。
ライト:影法師はたくさんいるんだ。死者が死の寸前に、強く思ったものに、姿を変えてその人の前に現れる。
影法師7:母親のことを思いながら死ねば、母親の姿になる。
影法師5:恋人が欲しいと思いながら死ねば、その人のタイプの姿で現れる。
影法師6:人間だけとは限らない。
影法師2:「二足歩行のネズミ」のことを思えば、「二足歩行のネズミ」の姿で現れる。
ライト:そして、案内する。
虎次郎:じゃあ、ルナとライトは?
ライト:それぞれ、お前たちが、最後にイメージした人物の姿で現れている。
ミムラ:ルナは、紗代の小さいころのイメージか?
虎次郎:ライトはなんだか、シュウっぽく思えるけど、もしかして

    ルナ、影法師の近くに行き、何か聞いている。

ル ナ:あら。
虎次郎:どうした?
ル ナ:よかったね、虎次郎。亡くなるのは、紗代だって。
ミムラ:何だって。
ル ナ:これで、もう迷う必要ないね。紗代も「この世」からいなくなれば、安心して虎次郎もあっちに行ける。
虎次郎:ふざけるな。
ライト:どうした?
虎次郎:どうすれば、助けられる?
ル ナ:どうして?紗代とずっと一緒にいたいんでしょ?好都合じゃん。虎次郎は生き返れないんだから、願ったり叶ったり。
虎次郎:俺は紗代が元気で暮らしてくれれば、それでいいんだ。
ライト:…ふ~ん。
虎次郎:ルナ!
ル ナ:……。
虎次郎:おい、どうすればいいんだよ。

    そう言って、虎次郎、影法師たちにつかみかかろうとする。

影法師2:森、紗代は車にひかれて死ぬ。
影法師4:森、紗代は助からない。
虎次郎:どうにかしてくれよ。
ライト:影法師は、物理的な力は働かない。
ミムラ:物理的な方法以外は?
虎次郎:そうか、紗代に危険だって、話せばいいんだ。
影法師3:紗代に虎次郎の声は届かない。
虎次郎:どうして?
ル ナ:さっき拒絶されたでしょ。必要だと思うからこそ、今までは、虎次郎の声がなぜか届いていた。
虎次郎:どうすればいいんだ。
影法師3:どうにもならない。
影法師4:どうしようもない。

    虎次郎、うなだれる。

ル ナ:…虎次郎、特別に選ばせてあげる。
ライト:おい、ルナ。
虎次郎:ルナ?
ル ナ:死ぬ予定にある人に、直接干渉して、それを変えることは許されない。
影法師2:許されない。
ル ナ:だから、紗代以外の人に、虎次郎の声を届けてあげる。
虎次郎:紗代以外?
ル ナ:チャンスは一回。
虎次郎:一回?
ル ナ:ただし、虎次郎は「この世」から離れる。紗代が助かっても助からなくても。
虎次郎:……
ル ナ:声を届ける方を選んだら、紗代に会えなくなる可能性もある。声を届けない場合、紗代は死ぬが、虎次郎と死後の世界で一緒にいられる。
虎次郎:それは、
ル ナ:選んで。このまま選ばなかったら、時間切れで紗代は死ぬ。
虎次郎:悩む必要はない。紗代を助けたい。
ミムラ:虎次郎…。
ル ナ:いいのね。もう決まり?
虎次郎:もちろん。
ル ナ:わかった。
影法師3:紗代の一番近くにいる知り合いは…
影法師4:チカとシュウ。
虎次郎:チカとシュウ?
ライト:二人は紗代を追いかけてる。
虎次郎:どうして二人に紗代は追いかけられてるんだ?あいつらを追っかけてたんじゃないのか?
ル ナ:どうする?話せる相手は一人だけ。
虎次郎:よし、シュウだ。助けろって言ってやる。
ル ナ:…OK。シュウね。

    チカ、シュウのヌキ現れる。

ル ナ:どうぞ。
虎次郎:おい、こらシュウ!
シュウ:え?
チ カ:何?急に立ち止まって?
シュウ:いや、なんか聞こえない?
チ カ:何?
虎次郎:俺だ、虎次郎だ。
シュウ:虎次郎って…?コジちゃん?
虎次郎:そうだ。
シュウ:いや、だって、コジちゃん、二年前に…。
虎次郎:あ、その話は長くなるから、いいや。それより、お前、紗代のこと追っかけてないか。
シュウ:え?
チ カ:シュウ?
シュウ:なんだろ、俺、おかしくなったかな?コジちゃんの声が聞こえる。
虎次郎:紗代のこと、困らせて泣かせるんじゃねえよ!
チ カ:コジちゃん?何て?
シュウ:紗代を泣かせるなって。
チ カ:ああ、コジちゃん、紗代ちゃんのこと心配してたもんね。シュウ、紗代ちゃんのこと、泣かせてるもんね。
虎次郎:やっぱりか!
シュウ:いやいや、そんなことないだろ。
チ カ:だって、シュウ、鈍感だから。
虎次郎:とにかく、今、紗代があぶねーんだ。俺の代わりに、お前、紗代を助けろ。
シュウ:あぶない?
虎次郎:事故に遭いそうなんだ。俺じゃ、もう助けられないから。代わりに…。
ル ナ:おしまい。
シュウ:あれ?コジちゃん?
虎次郎:聞こえないのか?アホシュウ。ボケなすび。
シュウ:声は聞こえないんだけど、何だか嫌な気分だな~。
虎次郎:おおーい。ルナ、もう少し話させろよ。どうすればいい?どこに十円いれれば?
ル ナ:何いってんのよ?電話じゃないんだから。虎次郎が、余計な話してるから悪いんでしょ。
チ カ:大丈夫?シュウ?紗代ちゃんに告白されて、嬉しくておかしくなった?
虎次郎:告白だ?お兄さんは認めませんよ。
シュウ:何言ってんだよ。とりあえず紗代を追いかけよう。
チ カ:さっきからそういってるじゃん。
シュウ:ごめん。チカ、置いていくから。
チ カ:ちょっと。

    シュウ、チカ、ハケる。

虎次郎:なあ、大丈夫なのか?
ル ナ:さあ?
虎次郎:さあって、
ル ナ:言ったじゃない。私は声を届けるだけ。後は知らない。
虎次郎:そんな。
ル ナ:あ、雨。
虎次郎:雨?

    SE:雨の音

ル ナ:どうする?紗代のところに行く?
虎次郎:もちろん。

    雨の音、次第に大きくなる。照明、変化。舞台も徐々に六角形に変化していく。
    ME:
    無言のまま、走り来る紗代。影法師たち紗代に追いすがろうとするが振り切られる。
    紗代がハケると、シュウが飛び込む。シュウは紗代を探しながら、移動する。
    影法師はあるときは通行人になり、紗代を追いすがる影法師になり、舞台装置を動かす。
    舞台後方にたたずむ、虎次郎とルナ、ミムラ、ライト。
    影法師、徐々に紗代に追いすがり、手を紗代に掛けようとする。
    車のヘッドライト。
    
虎次郎&シュウ:(叫ぶ)紗代!

    立ち止まる紗代。SE:急ブレーキ音。
    シュウ、紗代の腕をつかみ寄せる。影法師たち、ストップ。無音。

紗 代:……お兄ちゃん?
シュウ:あ、危なかった…。
紗 代:シュウ?

    その場にへたり込むシュウ。
    紗代、分からず呆然としている。
    ガッツポーズをする虎次郎。
    影法師たち、一人また一人とハケていく。

紗 代:どうして?
シュウ:(呼吸を整えて)コジちゃんだよ。
紗 代:お兄ちゃん?
シュウ:なんだか分からないけど、急にコジちゃんの声が聞こえたんだ。紗代が危ないって。
紗 代:お兄ちゃんが、シュウに?
シュウ:ああ。なんか、コジちゃんの代わりに、紗代をよろしく頼むって。
虎次郎:ええー?何かニュアンス違くねーか?
紗 代:お兄ちゃんが?
ル ナ:そんなこと言ってたよね。
虎次郎:そうだっけ?
ル ナ:うん、自分の代わりに助けてくれって。
虎次郎:だよね?俺、そういっただけだよね?なんか、さっきの感じだと、これからも、よろしくみたいに聞こえない?
紗 代:お兄ちゃん?いるの?
虎次郎:いるよ。ここに。
紗 代:…私が、さっきひどいこと言ったから、出てきてくれないのかな?前は私の前で話をしてくれたのに…。
虎次郎:いるんだけどな~。
シュウ:どういうこと?
紗 代:私のこと心配してくれて、亡くなった後も側にいてくれたの。
シュウ:そうなんだ。紗代のこと、心配してたんだな。
虎次郎:ねえ、ルナ。何とかならない?
ル ナ:何とかって?
虎次郎:最後にもう一度だけ、話をさせてよ。
ル ナ:ダメ。規則
虎次郎:ね、お願い。一生のお願い。
ル ナ:それって、ブラックジョークのつもり?
ミムラ:ライト。
ライト:なんだ、ミムラ。
ミムラ:さっき、このルナって子が、言ってた話。
ライト:ん?規則のことか?
ミムラ:そう。あれ、私にも適用される?
ライト:ん?ああ。
ミムラ:そう。じゃあ、虎次郎。
虎次郎:何?ミムラさん。
ミムラ:私は今から、シュウと話をする。
虎次郎:え?
ミムラ:伝えたいこと、言いなさい。

    ルナ、ライト、驚いた表情。

虎次郎:いや、だって、ミムラさん、他に話したい人は?
ミムラ:私の気持ちが変わらない内に、早く。
ライト:わかった。ミムラはシュウと話をするってことで、いいんだな。
ミムラ:いいよ。
ミムラ・虎次郎ヌキ

ミムラ:シュウ。私、ミムラ。
シュウ:え?ミムラさん?
紗 代:え?
ミムラ:そう。今、虎次郎と一緒にいる。
シュウ:コジちゃんと一緒?
紗 代:シュウ?
シュウ:今度はミムラさんの声だ。コジちゃんと一緒にいるって。
紗 代:お兄ちゃん、さっきは本当にごめん。
虎次郎:うん?ああ、全然気にしてないから。
ミムラ:気にしてないってよ。
シュウ:全然OKだって。
紗 代:私、ひどいこと言った。もう会えないかと。
虎次郎:うん、もう会えなくなる。これが最後だ。
ミムラ:これが話ができる、最後のチャンスだ。
シュウ:もう、話せなくなるって。
紗 代:どうして?
ミムラ:紗代のためだ。
虎次郎:ミムラさん?
ミムラ:本当は紗代が死ぬ可能性が、さっきあったんだ。それを止めるために、紗代の近くにいられる権利を失った。
シュウ:紗代のことを助けた代わりに、もう近くにはいられなくなるって。
ミムラ:でも、これでいいんだよ。
虎次郎:そうかもな。
ミムラ:私たちみたいなのが、ずっといたらおかしいだろ。
シュウ:ミムラさん。
ミムラ:シュウ。あんたもちゃんとしっかりしなよ。じゃないと、化けて出てくるよ。
シュウ:なんだよ、それ。ミムラさん。幽霊でも化け物でもいいから出てきてよ。
紗 代:お兄ちゃん、わたし、迷惑ばっかりかけてた。
虎次郎:何言ってんだよ。俺は兄貴だから、当たり前だろ。それに迷惑と思ったことなんか、ないよ。
ミムラ:兄貴なんだから、大丈夫だ。迷惑なんてかけられてたほうが嬉しい。
シュウ:気にするなって、迷惑をかけられることが嬉しいんだって。
ミムラ:ということで、私も虎次郎も、もうあんた達の側にいられなくなるから、シュウ、ちゃんと紗代のこと見てろ。
虎次郎:おい、手、出したら許さねーからな。
ミムラ:泣かせるなよ。ちゃんと、責任とって幸せにしてやれ。
シュウ:責任って?
虎次郎:ちょっと、ミムラさん?
ライト:そろそろ時間だ。
ル ナ:虎次郎。
虎次郎:ああ、わかった、紗代、最後に話せて良かったよ。じゃあな。
ミムラ:そろそろ時間だ、私も虎次郎も最後に二人と話せてよかったよ。
シュウ:もう、時間だって。

    虎次郎・ミムラヌキ、だんだんと消えていく。

シュウ:紗代、いいのか?最後だぞ。
紗 代:……。
シュウ:紗代!
紗 代:お兄ちゃん!

    虎次郎、驚いた表情。

紗 代:もう心配しなくても大丈夫。いままで、ありがとう。

    虎次郎、驚いた表情だが、嬉しそうな表情。

紗 代:私、死んでるように生きないよ。精一杯生きるから。安心して。

    虎次郎「ガンバレ」と口の形を作る。ヌキ消えていく。

紗 代:大丈夫。私一人でもやっていけるよ。お兄ちゃんの妹だから。生きたいように生きるよ。
シュウ:…(つぶやくように)一人じゃないだろ。
紗 代:え?
シュウ:(あわてて)紗代。良かったな。コジちゃん、安心したような表情してたって。
紗 代:うん。

    ME。何となく遠くを見る紗代とシュウ。

シュウ:♪「籠目、籠目。」
紗 代:何?
シュウ:よくコジちゃん歌ってたよな。
紗 代:そうだっけ?
シュウ:♪「うしろの正面、だあれ?」
紗 代:(笑って)心配性のお兄ちゃん。ずっとずっと、そばにいるよ。

    空からの照明、こぼれ落ちる。
    ちょっと照れたような虎次郎。紗代、シュウ、にっこり笑う。
    光があふれて、幕
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