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ホントのきもち

Posted by a-kasahara on 14.05.24 14:25
上演校名:宮城県古川高等学校
人数  :女子2名
上演時間:約60分

キャスト

 A 相田ナツミ
 W 脇田ヒロミ

   教室。授業が終わり、掃除が始まる。無言で机を運ぶ二人。

A (沈黙に耐えられず)…なんか、話そうよ。
W あ、うん。

   沈黙が続く。

A …だから、こう、なんかないかな?
W あ、そうだね。

   さらに沈黙が続く。

A …お願い。お願いだから何か話そうよ。
W いつもナツミちゃんがしゃべるじゃない。
A だからいっつもいっつも私がへらへらへらへら。私ばっかりへらへらへらへら。もうサイアク。
W ナツミちゃんのおしゃべり楽しいよ。
A 私だってたまにはさ、へらへらじゃなくて。
W なくて?
A はらはら、ひらひら、ふらふら、ほらほら。
W わ、分かった。じゃあね。知ってる?
A ごめん、知らない。
W まだ何も言ってないじゃない。
A ごめん、でもたぶん知らない。
W 今年って実はアトムの誕生日だったんだよ。
A え、誰?ほら、やっぱ知らないじゃん。何組の子?
W 違うわよ。アトムよ、鉄腕アトム。
A なんだ。それが?どうかした?
W 何も思わないの?
A 何が?
W もう21世紀なんだなあとか。
A …21世紀なんだなあ。(わざとらしく感慨深げ)
W 科学は意外と進歩しなかったんだなあとか。
A …進歩しなかったんだなあ。残念だなあ。(涙ぐむ)
W 手塚治虫が想像した未来に私たちって生きてるんだなあとか。
A …長いなあ。(近づいて)いつもそんなこと考えてるの?
W そんなことって?
A 人生とか、生きるとか、…アトムとか。
W そんなこともないけど。
A 私なんか着るものと食べるものだよとりあえず。あ、先月できた新しいケーキ屋さん行った?
W 私あんまり甘い物って、うん。
A そうだっけ?全種類制覇が当面の目標だわ。
W それはそれで幸せなんじゃない。
A そうかな。なんか何の悩みもないって言うとさ、頭悪いみたいに聞こえない?もうサイアク。
W そんなことないよ。
A 悩みがあるうちが花って言うじゃない。私なんか悩みがないのが悩みだよ。
W 悩みなんて…、ないほうがいいじゃない。
A ♪空を越えて…だよね。
W ああ、うん。
A ♪空を越えて…なんだっけ?
W ららら。
A ららら?
W ららら。
A らららって何よ?
W なんだろうね。
A らららでなくてもいいんじゃない?
W 例えば?
A ♪空を越えて、るるる
W 徹子の部屋みたいだね。
二人 ♪るーるるるるる、るーるるるるる…。
A はい、今日のゲストは鉄腕アトムさんです。今日初めてお会いするんですけど、とっても楽しみです。
W こんにちは。鉄腕アトムです。
A 鉄腕さんって、キャリアって言うか、もう何年ぐらい鉄腕さんをやってらっしゃるの?
W あ、あの鉄腕さんじゃなくてアトムと。
A あ、そうですね、鉄腕さんじゃおかしいですね。じゃあアトムさん。ご兄弟なんかはいらっしゃるの?
W 妹はウランで兄はコバルトです。
A あら、そう。ずいぶんアブナイ妹さんでいらっしゃるのね。ところで前からうかがいたかったんですが、
W はい。
A その髪型なんですけど、それはアンテナか何かなんですか?
W ねぐせです。
A みなさん、お聞きになりましたか?鉄腕さんの、
W あ、アトムで。
A アトムさんの頭は寝ぐせだったんですって。これで一つ悩みがなくなりました。
W 悩むほどのことでは。
A もうひとつうかがいますけど、鉄腕さんは、
W アトム。
A アトムさんは、何のエネルギーで活動していらっしゃるの?
W ゼンマイです。
A まあ!
W 冗談です。原子力です。
A あら、たいへん。(離れる)アトムさんのおみ足はとても素敵なんですが。その赤いブーツは、
W 掃除終わらないよ。
A なによー、面白くなってきたのに、サイアクだなあ、もう。

   机を運ぶ。

W なんで赤いブーツが気になるの?
A なんで青や黒じゃないのかなって?
W どういうこと?
A 赤は女の子の色じゃん。ブーツ。
W …ああ、そういうこと。
A なんでアトムはさ、男の子なのに赤いブーツなのかなあって。
W そ、そうだね、確かに不思議だね。でもたぶん、あれなんじゃないかな、テレビ的なことで、黒じゃずいぶん地味でしょ。
A そっかー、そうだよね。そういうことか。あーあ、悩んで損しちゃった。また悩みが一つ無くなっちゃったよ。
W いいじゃん、悩みは少ない方がいいに決まってる。
A そうかなあ。

   掃除が終わる。

W ところで、もう一つの悩み。
A なんだっけ?ああ、あの話しね。昼休みに話したじゃない。
W だけど、なんで漫才?
A だって二人しかいないから。
W 二人でできることもっとあるでしょ。
A 何?
W 例えば…あっち向いてほいとか。
二人 じゃんけんぽん。
二人 あっち向いてほい。あっち向いてほい。あっち向いてほい。
A あれ。
W …弱すぎる。縄跳びは?
A あ、いいかも。
二人 そーれ、いーち、にー、さーん、しーい、
A 誰が跳ぶの?
W あ、そうか二人しかいないんだったね。じゃあ、キャッチボール。
A じゃあいくよー、えい。

   ボールの行方を追う。

W アイドルの始球式じゃないからね。マジメにやってよ。
A ふざけてるのは誰よ。マジメに考えてるよ。もうコンビ名も考えてあるし。
W コンビ名?
A 漫才なんだからコンビ名がいるでしょ。
W ふーん。じゃあ、せっかくだから聞いてあげるわよ。どんなの?
A 私とあなたで、あいだ・わきた。
W そのまんまじゃない。名字を続けて呼んだだけじゃない。
A 「ますだ・おかだ」みたいでしょ。
W もう少しなんとかならないかなあ。
A じゃあね、私とあなたで、ナツミ・ヒロミ。
W だからそのまんまじゃん。名前に変えただけじゃん。
A じゃあピーナツ&バター。
W それ今日のお昼ご飯でしょ。購買で買ったんでしょ。
A ジャム&マーガリンもおいしいよ。
W コンビ名はおいといてさ、だからなんで漫才しなくちゃいけないのって聞いてるんじゃない。
A エノキがね、「漫才でもやりゃあいいんじゃねえの」って。
W 顧問が言ったからってさ、それじゃあ自分ってものがないんじゃないの?
A じゃあ何やるのさ?「父と暮らせば」でもやる?
W あ、いいじゃない。去年のコンクールでさ、どこかの学校がやってたじゃない。あれ、東北大会行ったよね確か。
A あのさあ、自分たちの実力考えて出し物考えようよ。それに私たち女の子二人。
W 私「竹造」やってもいいよ。
A いいからやんなくて。ランニングシャツとか着れないから。
W でもさあ、演劇部なんだよ。なんで文化祭で漫才なのさ。
A 考えたんだよ。
W 考えてないから人の意見を丸呑みなんでしょ。
A うちの部、このままだとたいへんなことになるよね。
W うん、それは分かってる。
A 新入部員ゼロだからね。
W さすがにエノキもしょげてたもん。
A このままじゃさ、コンクール出られないよ。
W だから「父と暮らせば」でいいじゃない。私「竹造」やるからさ。
A 照明は誰がやるの?
W あ。
A 音響は誰がやるの?
W そ、そうねえ。
A 先輩はもうあてにできないんだからね。
W あ、エノキに頼もう。
A やってくれると思う?
W 思わない。
A 漫才でもやったらどうかなとは言わなかったよ。やりゃあいいんじゃねえのって言ったからね。
W でもやっぱり漫才ってよく分からない。
A 今年の部員募集のビラ覚えてる?
W なんか間違った?
A 間違ったって言えば間違った。
W そう?
A 真面目過ぎ。
W そうかな。
A ストレート過ぎ。
W そうかな。
A もっと軽いのりでないとさ、文化部はさ。
W そうなの?吹奏楽部とかって全然軽くないよ。
A 軽い感じでさ、ついでに部員勧誘をしてしまおうっていう作戦なのよ。
W そういう魂胆だったのか。
A だからね、借りてきたわよ。
W 何?
A 誰にでも作れる爆笑漫才台本。
W またずいぶんとベタな題名ね。
A これによればね。
W っていうかもう決まったの?漫才。
A またキャッチボールの所まで戻る?
W わ、分かった。
A まずは場所を設定する。って書いてあるわ。
W あ、それ去年の創作脚本講座で習った。
A どこで何をするかで、話の大筋は決まるって書いてある。
W そう簡単にいくかな。
A 私がどこを考えるから、あなたが何をするか考えて。
W いいよ。
A じゃあね、とりあえず無難なところで、学校。
W うーん、嫌な所出すわね。
A あれ、学校嫌なの?
W どちらかと言えば。
A そうか、長い付き合いだけど知らなかったよ。
W うん、そうだね。幼なじみだもんね。でもお互いに知らないこともたくさんあるよ。
A じゃあ、とりあえず学校。
W えーっとね、学校でしょ、うん、学ぶ。
A そりゃそうだけどさ。
W 間違ってないでしょ。
A 間違ってないけどさ、それじゃ当たり前過ぎるでしょ。
W 当たり前のことがいいんだって、なんか最近よく聞くじゃない。
A でも漫才だからさ。もう一回ね。こうタイミングも大事だからさ。いくよ、学校で。
W 穴を掘る。
A 掘らないわよ。
W 学校からの大脱走。
A 普通に帰ればいいでしょ校門から。すーっと自転車で。
W 今日雨だし。
A そこだけ現実に戻ってどうする。じゃあね、コンビニで。
W 穴を掘る。
A だからもう掘らなくっていいってば。
W あなたがもっと掘りやすい場所を言ってくれればいいんでしょ。
A 掘りやすい場所って。もうこうなったら数撃ちゃ当たるよ。いくよ、本屋で。
W 縁を切る。
A 銀行で、
W 犬を飼う。
A 海岸で、
W 世話を焼く。
A イカは焼いたりするけどねえ。喫茶店で、
W …ゴドーを待つ。
A このままだと不条理漫才になっちゃうね。
W とりあえず、簡単じゃないってことだけは分かったわ。
A 私もうちょっとちゃんと読んでみるよ。このままじゃどうしようもないし。続きは明日にしよう。
W そうだね。明日にしよう。やるかどうかも含めてね。
A やるの。

   別のある日の放課後。   
○のセリフは実際には発言されない。(間だけを取る)

A あのさあ、ちょっと、もうぱっぱっと出てくれないかなあ。この後部活の話しとかあるからさあ。
(○演劇部がいいと思いまーす。)
A だから、何ですぐ演劇部とか言うかな。もう、誰でもいいじゃん。文化部はさあちょっと忙しくて無理だからさ。
(○演劇部がやればいいと思いまーす。)
A だから演劇部は文化部だっっつーの。うちはうちでいろいろやらなきゃないことがあってたいへんなんだってば。
(○じゃあじゃんけんで負けた人)
A じゃんけんはやめようよ。クラス役員だってちゃんと話し合って決めたじゃん。
(○そう言うんだったら、まず自分がやればいいんじゃない。)
A ちょっと聞いてる?だから私は演劇部で文化部で、今漫才の台本作りで忙しいんだって言ってるでしょ。
(○じゃあ他の演劇部)
A あのさ、演劇部演劇部って気軽に言ってくれるけど、二人しかいないの。この二人。ごめんね少なくて。
(○今日は時間がないから明日でいいんじゃないの)
A まあ締切はまだ先なんだけどさ、
(○じゃあ、明日にしよう)
A だから、そうやって明日明日って延びていっちゃうからさあ。
(○文化祭実行委員がやればいいと思います。)
A あのさ、何度も言って悪いんだけどさ、分かって言ってる?演劇部はこの二人って言ったよね。少なくてごめんねって言ったよね。しかも今この話し合いは文化祭実行委員がやってるんだよね。文化祭実行委員イコール演劇部イコール私たちって分かって言ってる?
(○ちょうどいいと思います)
A ちょっと無責任じゃないんですか。何でもかんでも係に任せようっていうのは。だってやりたい人いるでしょ。ほら遠慮しなくていいからさ、手あげてよ。
W はい。(手を挙げる)
A え、何?何手なんかあげてるの。忙しくてそれどころじゃないって言ってるでしょ。あんたも聞いてないの。
W 聞いてたけど。
A そんなの責任感じて引き受ける必要なんてないからね。
(○はい、拍手拍手)
A だめだってば、こら拍手やめろ。
W あの、違うんです。私がやるって言うんじゃなくて。
A ほら違うってよ。
W 今年のミスコン、ボイコットしませんか。
A いいこと言うね我が相棒は。え、何言ってるの?
W 今時、女装とか男装とかってどうかと思うんです。ジェンダーとかそういうことだって言われてるのに、
(○ジェンダーって何?)
A はい、ものを知らない人は黙ってて。
W ああいうのって、きっと口には出さないけど、嫌だなって感じてる人がいると思うんです。もっとみんなが楽しめる出し物を考えた方がいいんじゃないかと思って。
(○うちのクラスだけ出ないってそれはおかしいんじゃないの)
A そうだよねえ、毎年やってることだもんねえ、今年だけそれもうちのクラスだけやらないって変だよね。(小声で)もういきなり何言い出すのよ。
W だって。ずっと考えてた。
A そういうのここでいきなり出されてもさ。
(○とりあえず明日にしようよ。)
A あ、そうだね。なんか妙な方向に行っちゃったから、とりあえず明日に延ばした方が、
(○今日決めようってさっき言ったじゃない)
A さっきはそう言ったけどさ。なんか決まらない感じになってきたじゃない。ちょっとさ。
W ボイコットしましょう。絶対反対。あんなのが面白いなんて、みんなおかしいよ。
A (小声で)ちょっと、とりあえずさ、ここは私に任せてよ。
W 今言わないと。ここで言わないと私。
A (小声で)悪いようにはしないから。 
(○多数決をお願いします。)
A わかりました。
A じゃあ文化祭実行委員にとりあえずお任せするに賛成の人は手
 を、(賛成多数)…数えなくてもいいですか。
(○はーい)
A そんなに元気に返事しなくてもいいでしょ。それでは文化祭実行委員が、決め方も含めて後で再提案することにします。週番、先生に話し合い終わったって言ってきて。
W …ごめん。
A もう何言ってるのか分かんないよ。いきなり打ち合わせもなしでさ。なんか考えてるなら前もって相談してくれればいいじゃない。
W ほんと、ごめん。

   次の日の放課後。

A ヒロミが変なこというからなんだか面倒くさいことになっちゃったじゃない。もう。
W ごめん。
A どうするつもり?
W ごめん。ほんと。
A 謝ってたって何も進まないわよ。なんでいきなりあんなこと言い出したの?ミスコン止めた方がいいなんてさ。だいたいあそこで言うことじゃないじゃない。生徒総会とか実行委員会とか、そ ういう所で出る話でしょ。
W そう思う。ちょっと感情的になっちゃったの。ごめん。反省してる。 
A わけを聞かせてよ。わけを。
W 簡単には言えない。
A 言えないってどういうことよ。わけもなくあんなこと言ったってこと。それはないでしょ、いくらなんでも。
W わけがないわけじゃない。
A じゃあ話してよ。
W ずっと感じてたけど、なかなか言い出せなくて、勇気がなくて、ずっと色々考えてて。
A 分かりにくいな。
W ごめん。
A だいたい、あんたにやってくれって言ってるわけじゃないんだよ。
W そうだけど。
A ほんとはね、やりたい人はいるんだよ。でもこう自分から目立ったことやるとあれだしなとか思って言い出さないだけでさ。
W そうだよね、言い出さない限りそれは「いない」ってことと同じだもんね。
A たかが文化祭の余興じゃない。いやがる人に無理矢理やらせるんじゃないんだよ。そういう面白いことが好きな子がクラスに一 人はいるんだってば。
W そうだよね。クラスに一人はいるんだよね。そういう人。
A 隠れてるだけなんだってば、いるの、必ず。
W 出る人は好きで出るのかもしれないけど、それを見て嫌な思いをしてる人、きっといると思う。
A あ、もしかして、あのこと言ってる?
W あのことって?
A ふざけて女装とか男装とかしてるのがあれだって言うんでしょ。
W 何よあれって。
A ほら、そういう人。
W そういう人?
A 金八先生の再放送でさ、上戸彩がやった役。
W ああ。
A あの、身体は女なのにさ、心は男の人でさ。
W 性同一性障害。
A そうそう。そういう人。そういう人がいることは知ってるよ、もちろん。新聞だってテレビだって見てますからね。でもそれはさ、ほんの一握りの特殊な人たちじゃない。
W そうだよね、そんな人身近にはいないよね。
A テレビの世界のことだよね。
W でもね性的マイノリティって、
A なに?
W マイノリティ、少数派。
A ああ、うん。
W 30人に一人の割合って言われてるんだよ。クラスに一人いても不思議じゃない。ミスコンに出たい人と同じだよ。
A だってうちの学校にはいないじゃん。
W そう、みんな、そんなのいるわけないじゃんって思ってるのよ。言い出さない限りそれはいないってことと同じだもんね。まさか
 そんな人が自分の目の前にいて自分と話してるなんてね。
A え?
W 私がそうなの。
A え?何言ってるの。
W 私、身体は女だけど、心は男。
A え?だってヒロミちゃん。そんな大事なこと、今ここでいきなり言われても。
W ごめん。
A それって、カミングアウトっていうやつだよね。
W よく知ってるじゃない。
A ちょっと待ってくれる。今頭が混乱してちょっとなんだか。
W うん。でも、いきなりじゃないかも。
A え?
W 忘れた?子どもの頃。
A え?子どもの頃?……忘れた。
W そっか。子どもの頃だもんね。
A はじめから分かるように説明してくれる。
W 少し長くなるけど大丈夫?
A 理解できるかどうか自信ないけど、でもちゃんと聞かないとね。
W …ありがとう。

   二人、退場。

   幼稚園の頃

A 今日はねサンタさんが幼稚園に来て、みんなにプレゼントをくれるんだって。
W えー、プレゼント?何かな何のプレゼントかな?
A ヒロミちゃんはさ、何がいい?ねえ何がいい?私はね、えっとね、キャンディがいいかな。あ、クッキーでもいいかな。あ、ケーキだともっといいな。
W ナツミちゃん、食べ物ばっかりだね。
A うん。食べ物じゃなかったらね、ぬいぐるみ。ヒロミちゃんは?
W グローブ。
A なに、その食べ物?
W ナツミちゃん、食べ物じゃないよ。グローブ、野球の。
A え、何するのそれ?
W 野球する。
A えー、変なの。でもね幼稚園のプレゼントだからそんなのはね、くれないんだよ。
W じゃあ、バット。
A え、なに、その食べ物?
W だからナツミちゃん、食べ物じゃないってば。野球のバット。
A え、何するのそれ?
W だから野球する。
A 変なの。ほら、プレゼント、あんなちっちゃな箱だよ。
W ほんとだ。
二人 わーい。…ありがとう。
A …なんで青い箱持ってるの?
W ピンク嫌いだし。
A 変なの。

   またある日

A あ、ヒロミちゃん、女の子はこっちのトイレだよ。ほら、赤でこうやってスカートはいているのが女の子のトイレだよ。男の子 のトイレは青で書いてあるんだよ。
W なんで、私、男の子だもん。ズボンはいてるし。
A え、違うんだよ。あのね、ズボンはいててもね、女の子なんだよ。
W 違うもん。スカートはいてるのが女の子だもん。
A だって男の子のトイレと女の子のトイレは形が違うんだよ。
W 違うもん。私男の子だもん。
A だって男の子は立ってするけど、女の子はしゃがんでするでしょ。
W 今はまだそうだけど、大人になったら変わるんだもん。もう少ししたらおちんちんが生えてくるんだもん。

   小学生の頃

A ねえねえ大きくなったら何になるとかもう決めてる?
W うん。
A 私も決めてるよ。私はね、ケーキ屋さん。ケーキ屋さんでケーキ作る人。パテなんとか。
W へー、すごいね。
A でもね、だめだったらAKB48の人。
W へー、すごいね。
A ヒロミちゃんは?
W 私はね、…みんなに言っちゃだめだよ。ナツミちゃんだけに教えるんだからね。
A うん、わかった。女同士の約束だね。
W あ、ああ、うん、まあ。
A 何?何になりたいの?何でみんなに言っちゃいけないの?あ、もしかして、あれ?グラビア関係?
W 違うよ。
A じゃあ何よ。
W 男の子。
A え、何それ?
W お金を貯めて、手術受けて男になるの。
A え、なんで、女の子なのに、わざわざ男になるの?
W だって私、男の子だもん。
A え、それって、何?え、ヒロミちゃんってオカマなの?
W え、違うよ、オカマじゃないよ。
A えー、きもーい。だって、ヒロミちゃん変だよ。女の子なのにさ、男になりたいなんてさ。
W え、そうかな、そんな変かな?
A だって女の子なのにおかしいよ。女の子だったらさ、普通はケーキ屋さんとかさ、洋服屋さんとかさ、そういうかわいいのになるんだよ。
W それはナツミちゃんがなりたいんでしょ。
A だって、お嫁さんに行ってさ、結婚してさ、子どもが生まれてさ。そういうシアワセでしょ。
W だからそれはナツミちゃんがなりたいものでしょ。私は私。ナツミちゃんとは違う。
A でもやっぱり変だよ。ヒロミちゃんとは友だちだけどさ、なんかちょっと話しづらくなっちゃうかも。
W ……じょ、冗談だよ。冗談に決まってるじゃない。男の子になりたい女の子なんているわけないじゃない。
A …何よー、まじめなヒロミちゃんが真剣な顔して言うからホントかと思っちゃったじゃない。
W もうやだなー、簡単にだまされて。
A ごめんね、きもいとか言って。
W いいよいいよ。ふざけた私が悪いんだから。

   現在に戻って

W どうしたの?
A …自分の鈍感さにあきれてるところ。
W そんなことないよ。子どもの頃の話しだもん。
A ごめん。気づいてあげられなくて。
W そんなことないよ。私が自分で隠してたんだもん。誰にも気づかれないように。
A …あの、質問してもいい。
W もちろんいいよ。
A いきなりこんなこと聞いてあれだけどさ、レズとは違うんだよね。
W うん、違う。レズビアンって同性愛者のことだよね。
A うん。
W 私の好きになる相手は女性だけど、
A え!(一歩退く)
W あ、大丈夫。ナツミちゃんはぜんぜんタイプじゃないから。
A あはは、そうか、幼なじみだもんね。タイプじゃないか。なんかそう言われると安心したような残念なような。
W 恋愛対象は女性だけど、私は男性だから、それは同性愛じゃなくて異性愛ってことになるの。
A ちょっとややこしいね。
W でも生まれてから一度も告白なんかしたことないけどね。
A もういっこ、聞いてもいい?
W いいよ。
A 将来はさ、やっぱり性転換とかしちゃうの?
W うん。あのね、性転換って世間で言ってるけど、ほんとはね、性適合手術って言うんだよ。食い違ってる性別を元に戻すことだからね。
A なるほど。適合か。
W でもすごくお金かかるし、危険もあるからそう簡単にはいかないけど、もちろん将来的にはそうしたいと思ってる。
A 危険なんだ。
W 死ぬこともある。
A え。
W でもねその手術をすれば戸籍の性別も変更できるし、結婚もできる。結婚ができれば、自分の本当の子どもは無理だけど、養子を迎えることもできる。
A 私なんか大学さえ決まってないのに、ヒロミちゃんはしっかり将来のこと考えてるんだね。
W だって本当の自分を隠したまま、透明人間みたいに生きてるんじゃ、生きてる意味がないもん。
A 透明人間?
W 本当の私は誰の目にも見えない透明人間になってるってこと。
A うん。あ、でもさ、今透明人間っていったけどさ、こんなこと言ったらあれだけどさ、ヒロミちゃんは男なんだよね。
W そう言った。
A でさ、女の子が好きなんだよね。
W それも言った。
A そしたらさ、女の子が好きってことはさ、女の子のさ、身体も好きってことだよね。
W どういうこと?
A つまりさ、つまりさ、更衣室で着替えしてる時とかさ。
W ああ、そのことか。うん。言いたいことは分かる。
A 私とだってさ、一緒に着替えてたんだよね。
W うん。うん。
A 私たちはさ、ヒロミちゃんが女の子だと思ってるからさ、平気だったけどさ、ほんとはさ、男の子の心で私たちのこと見てたってことだよね。
W うん、それはね、そうじゃないんだ。
A 許せないそんなの。卑怯じゃない。だって女の子の振りをしてほんとは男の子の気持ちで私たちを。
W そうだよね。そう思われても言い訳できないよね。でも違うんだ。
A どう違うのよ。
W そんな気持ちが1%もなかったとは言わない。
A ほらやっぱりそうじゃない。
W でも私は周りの人なんか気にする余裕は全然なかった。
A え?
W 自分で見るのも嫌なこの体を他人に見られるのは絶対に嫌だった。修学旅行は結局お風呂に入らなかった。体育の時だって、胸が目立たないように、Tシャツの裾は外に出してたから、いっつ も先生にだらしないって注意されて…。
A 分かった。ごめん。
W 分からなくていい。
A …ヒロミちゃん。
W 分かるはずない。好きで透明人間になったわけじゃない。そうしなきゃ生きていけなかったんだ。誰も私のホントの気持ちなんか分かってくれない。
A …ごめん。卑怯とか言っちゃって。
W ……。
A 透明人間か。…子どもの頃はなりたかったけどな。
W …私もなりたかったよ。透明人間になって、お菓子屋さんでひょいとドーナツをつまみ食い。でもまさかこんな形で夢がかなう なんてね。
A うん。…ありがとう。そこまで話してくれて。でも、ごめん。
 やっぱり、無理かもしれない。
W そう。そうか、そうだよね。
A 頭では分かるんだ。たいへんだったろうなと思うんだけど。でも。
W うん。いいんだ。私はナツミちゃんにカミングアウトしたことで少しだけ体が軽くなったから。でも迷惑だったかもしれないね。
A 迷惑とかそういうことじゃないんだけど、やっぱごめん。今までみたいにもう話せないかも知れない。ごめん。
W ナツミちゃん。
A 今度は、「冗談だよ。」って言わないんだよね。
W …うん、言わない。
A …そうか。ごめん。先帰るね。
W ナツミちゃん、私ね、署名集めてみようと思ってるんだ。
A え?
W やっぱりね、きちんとみんなで話し合って、ミスコンのこと。それでみんなで話し合って廃止していけたらって。
A それはまた別の話だよね。
W うん、別の話。
A じゃあね。
W うん。

   教室を出て行くナツミ。一人残されたヒロミ。
   机の上にナツミが忘れていった台本らしきものに気づく。

W 漫才やるんだから、まずコンビ名を考えなきゃいけませんね。
A そうですね。二人の名前をとって、あいだわきたっていうのはどうでしょう。
W そのまんま。
A じゃあちょっとひねってナツミヒロミ。
W だからそのまんま。
W …バカだなあ。

   台本を持って出て行くヒロミ。
   暗転。

ミスコン廃止の署名を集めているヒロミ。しかし誰も立ち止まらない。

W ミ、ミスコンの廃止に署名をお願いします。

   ナツミが通りかかる。気まずい雰囲気。言葉をかけずに通りすぎる。

W ミ、ミスコンの廃止に署名をお願いします。

   また、ナツミが通りかかる。気まずい雰囲気。言葉をかけずに通りすぎる。

W ミ、ミスコンの廃止に署名をお願いします。

   ナツミが通りかかる。手にメガホンを持っている。無言で差し出し通り過ぎる。

W (メガホンを使おうとするがためらって横に置き)署名をお願いします。

   ナツミが通りかかる。

A なんで使わないのさ。
W だってちょっと、
A ちょっと何よ。
W …恥ずかしい。
A だったらやめればいいじゃん。
W え?
A そんなことが恥ずかしいんじゃ何も出来ないよ。手伝おうと思ったけどやめた。
W ナツミちゃん。 
A あんたは私にカミングアウトして気が楽になったのかもしれないけど、私の気持ちだって考えてよ。
W ナツミちゃん。
A 私だってこのままでいいなんて思ってない。将来のことなんかなんにも考えていないし、勉強だって全然してない。
W ごめん。やっぱり迷惑だったね。
A 迷惑よ。ヒロミがホントの自分と向き合おうとしているのを見て、私も少しだけどほんの少しだけど、自分のこともう少し考えてみようって思ってたのに。そんな中途半端な気持ちでカミングアウトしたの?迷惑だよ。サイアクだよ。

   走り去るナツミ。一人うつむくヒロミ。
   遠くから「ミスコン反対」の声が聞こえる。ヒロミが登場する。手には「ミスコン反対」ののぼりを抱えている。

W ナツミちゃん、これ。
A うまいもんでしょ。これでも書道三段の腕前。大声なんてね、慣れよ慣れ。ミスコン。
W …。
A 反対!でしょ。
W 反対。
A 小さい!それでも男か!
W …ナツミちゃん。
A もう一回。ミスコン。
W 反対!
A その調子。ミスコン。
W 廃止!

   二人の声が大きくなっていく。

   数日後の教室。

A 昨日、実行委員長に渡してきた。署名。
W なにか言われた?
A 何も。ちょっと困った顔してたけど。
W そう。
A ところでさ。
W ん?
A 漫才だけどね。
W あ、忘れてた。
A で、どこまで話したっけ?
W コンビ名の所まで。
A あれ、そんな詳しい話になったかな?だって最後にこの話したのは、衝撃の告白を聞いた時だから、
W やめてよ。
A あの時話そうと思って、台本途中まで書いて。
W 忘れていった。
A あ、読んだな。
W だって机の上にあったんだもん。
A あの話の後に、あれ読んだの?
W うん。泣きたいの我慢してたのに、おかしくて涙出ちゃったじゃない。
A ヒロミちゃん。
W ちょっとやってみる?
A そうだね。練習しようか。
W 分かった。
A やっぱり、名前の前になにかつけないといけませんね。
W たとえば?
A 中田カウスボタンとか。
W なるほどね、ナツミヒロミの前に何をつけますか?
A ザ・ナツミヒロミ。
W うーんちょっと変かなあ。
A 財団法人ナツミヒロミ。
W 何の団体?
A 第42回ナツミヒロミ。
W それって何の大会?
A 元祖ナツミヒロミ。
W 食べ物屋みたいだね。
A こうなったら、ナツミとヒロミの盛り合わせ。
W メニューになっちゃった。
A ナツミのヒロミ和え。
W 私はゴマか?

   放送が入る。

放送 連絡します。2B講義室で4時から臨時の文化祭実行委員会を開きます。各クラスの文化祭実行委員会と生徒会執行部はただちに集合して下さい。もう一度繰り返します。2B講義室で、4時から臨時の文化祭実行委員会を開催します。各クラスの…。

A やったね。
W うん、でもまだ第一歩。
A そうだね。でも、やってみなくちゃわからない。
W そうだね。
A 署名は全校生徒の三分の二まで達し、
W 今年の実行委員長さんが女子だったこともあったのか。
A とんとん拍子で話は進み。
W なんとミスコンはなぜか「クラス対抗合唱コンクール」に変更されたのです。

   文化祭前の教室。

A さあ、本番まであと一週間だからね。そろそろ覚えてよ。はい特に山﨑君ね。
W 名指しは止めようよ。
A だって山﨑君、あれじゃあお経でしょ。
W それも個性でしょ。
A 合唱だからねえ、ハーモニーだからねえ。
W とにかく時間ないんだし、練習しよう。
A 一回通してみるからね。いい?それじゃあ、さんはい。

   「上を向いて歩こう」を歌う。

   文化祭本番。漫才が始まる。

A まあコンビ名はいいとしても、キャッチフレーズみたいなものが欲しいですね。
W キャッチフレーズですか。
A どんなのがいいですかね。
W やっぱりコンビですからねえ。
A はい。
W この二人だから出来ることなんですね。
A いいですね、それ。
W あなたがいて、
A わたしは猿。きっきー。
W あなただけ猿じゃあ困るでしょ。
A ごめんごめん、間違えた。二人は。
二人 猿。うっきー。
W 違うでしょ。もう、しっかりやってくださいよ。あなたがいて、
A 私は去る。
W おーい、おーい。
A 何かご用で。
W ご用はあるわよ。キャッチフレーズでしょ。
A もう一度チャンスを下さい。
W これが最後だからね、あなたがいて、
A 私はだれ?
W あいだ。あいだ。私がわきた。
A ああ、そうでした。
W コンビ名はもういいの。だから、あなたがいて、
A 私はイルカ。
W はい。ジャンプ。
A きゅっきゅきゅっきゅっっきゅー。
W え、イルカってそんな風に鳴くの。
A イメージよイメージ。
W これで最後よ。あなたがいて、
A わたしがいる。

   見つめ合う二人。

W やればできるじゃない。
A ありがとう。
二人 あなたがいて、わたしがいる。

   生徒会役員選挙立ち会い演説会当日である。

司会 それでは、生徒会長に立候補した2年6組脇田ヒロミさんお願いします。

W これまでの私は、すべてのものから逃げていました。他人からそして自分から。自分は普通の子とは違うんだ。みんなとは違う んだ。いったい私は何者なのだろう。そう思うようになりました。 私は体は女性ですが心は男性です。性同一性障害といいます。… お願いです。静かに、静かに聞いて下さい。小さい頃から、心と体が引き裂かれるような苦しみを味わってきました。そんな自分 が自分でも理解できず、誰にも相談できず、ずっと自分の心を偽って生きてきました。
  カミングアウトすることはとても勇気のいることです。でも私は話すことを選びました。もうこれ以上自分に嘘をつくのは嫌だったからです。親友はそれを受け止めてくれました。すぐには無理かも知れないけれど、男の私を認めたいと言ってくれました。本当の自分を受け入れてくれることが、こんなにもうれしくて、しあわせなことだとは思いませんでした。
  本当に困っている人こそ、声をあげることが難しい。社会には様々な立場の少数者がいて、かつての私と同じように声も出せずに暮らしています。私が今日まで生きてきて感じるのは、声をあげないといないことにされてしまうという現実です。黙ったままでは状況は変わりません。声をあげれば必ずそれに応えてくれる人がいるはずです。みなさんの小さな声を必ず拾い上げ、みなさんが過ごしやすい、学校を目指します。脇田ヒロミに一票をお願いします。

司会 ありがとうございました。続いて応援弁士の2年6組相田ナツミさんお願いします。

A 私は脇田ヒロミさん、いやヒロミ君の幼なじみです。小さい頃から知っています。でも彼女が、いや彼がそのような悩みを抱えていたなんて全く知りませんでした。親友として何でもっと早く気づいてあげられなかったんだろう。そんな気持ちでいっぱいで す。そうは言うものの、そのことを告白された時はあまりの驚きに、冷静に考えることができませんでした。でも今は違います。
 ヒロミ君がまず私に話してくれたということは、私のことを信頼し、そして大切に思っているからだと分かったからです。同じように、今日みなさんの前でカミングアウトした彼は、皆さんを信頼し、大切に思っているのです。みんなを信じ、大切に思うこと。これは生徒会長として一番大事なことじゃないでしょうか。
 ミスコンの署名も、最初は無理だと思ってました。でも毎日一生懸命気持ちを込めて訴え続けていると、一人そしてまた一人と署名の数は増えていきました。その時私は思いました。熱意は伝わる。そしてやってみなくちゃわからないと。
 みんなが自分らしく生きられる学校。なんかすごく大きなことを言っているように聞こえるかも知れません。でも今回のことで私も考えさせられたんです。自分らしくって何だろうって。私は自分をあまり大切に考えてこなかったんじゃないかって。私たちは色々な欠点や不具合を持っています。でもそれも含めて、愛すべき、かけがえのない私です。みんなでそのことを一緒になって考えていけたらいいなって思います。みんなのホントのきもち、 聞かせて下さい。脇田ヒロミ君に一票をお願いします。

    暗転。(暗転中にヒロミは男子の制服に着替えている)


    明かりが付くといつもと変わらない教室。
    ナツミがいてヒロミがいる。
    音楽高まる中、幕が下りる。





















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